◆2007美味かったBest20
◆総括
今年は、ミートホープ事件や賞味期限切れの話をはじめ、さまざまな食にまつわる問題が世間で騒がれた年だった。これについては言いたい事は色々あるが、大体この時書いた事の延長線上の話なので割愛。俺はそもそも、普段から魚や肉は市場で買ってきて捌いているし、スープストックやトマトソースを作って冷蔵庫に寝かせているし、チーズや生ハムなども塊で常備されている。それらが鮮度抜群の『美味い』状態から、どういう段階を経て『食えない』状態になっていくのかを知っているから、賞味期限などというものは全て自分で判断して決めるべきものだと思っている。昔の主婦は皆そうだった。魚屋や八百屋で、店の親父やおかみさんと会話しながら買い物して、それらを自分で調理していれば、それが冷蔵庫の中でどうなっていくか、美味く食える時期や調理法はどういったものがあるか、皆当たり前のように知っていたのである。別に料理が上手いか下手かを言っているのではない。『そういうスタンスの生活をしているかどうか』を言っているのだ。
しかし、ご丁寧に、メーカーが半ば主観的に決めた賞味期限のシールが貼られた、コンビニ弁当やスーパーのパック売りの食材や冷凍食品に慣れた消費者が、今更そんな時代に戻れるとはとても思えない。一旦甘やかされて育ったのだから、大半の人間が、問題に対して自分の無知を棚に上げて単にヒステリックに文句をまき散らすだけしか出来ないのも致し方ない事だ。食育だマクロビだ、ロハスがどうとか言っているが、多分今の子供は危ないからといって包丁すら持たせて貰えないのだろう。この、食の世界全体を覆う『過保護感』が(書物の上だけでなく体験として)知るという行為を妨げ、そういう態度が消費者側に蔓延してるから、メーカーもそれを感じ取ってつけあがるのだ。
一方そんなご時世にも関わらず、相変わらずグルメブームは続いてる。ミシュラン東京も発売されたし、雑誌もグルメ特集ばかりだし、tabelogや一般blogでも美味い店紹介は百花絢爛だ。しかしその大半は、上記の『過保護感』一杯の人間が、その価値観を前面に出した文章なので、リアリティも説得力もへったくれもない。ひどいのになると、光り物が好きではない人間が寿司を語ったり、コルニチョーネ(耳)を残す人間がナポリピッツァを語ったり、一体何を基準に『美味い』と評しているのか、もはや俺には理解不能なものもあったりする。抽象的だが、そこに食に対する愛を全く感じない。愛のなさゆえの無知も蔓延している。無知ならまだしも、愛もセンスもないのに知識『だけ』ある人間(もしくは、知識さえあれば語る資格があると思っている人間)が最もタチが悪いのだが、そうとしか思えないような記述や会話を目の当たりにする機会が年々増えていっている。別に悲しくも腹立たしくもないが、可哀想だとは思う。
このblogで毎年やってる『美味かったBest20』。今年は海外も含めた東京以外の店が大半をしめた。それは多分、多かれ少なかれ、前述のような世の中の空気がそうさせているのだと思う。ミシュランも含め、今都内で騒がれている店や、それを評価している記事や人間に全く心魅かれないのは、今よしとされている、ある種の価値基準に全く同意出来ないからであろう(唯一、ディスカバリーチャンネルでやってる『No Reservations』は、ある意味共感出来るスタンスだと言えるw)。それはすなわち、前述のように、その情報量に比しての根拠、よりどころ、モチベーション、(俺の言葉で言えば愛)のあまりの希薄さゆえの説得力の無さだと思う。
それに、誤解を承知で敢えて言えば、都内の店というのは、江戸前の食文化、もしくはその店だけの独自の料理を除いては、大半はサンプラー、コンピレーション、リイシュー、つまり『それに近い味』でしかないのだ(勿論、まれに本物もあるし、場合によっては本物を越えてしまったものもあるかも知れないが、ここではそういう意味で言っているわけではない。存在意義は確実にある)も。それらを通してその料理の魅力を知る事は重要だが、イタリアン、フレンチ、中華など海外の食は勿論、日本の地方料理にしたって、よくも悪くも、オリジナルはその土地にしかない。よく考えれば当たり前の事である。勿論東京近郊に比べて地方は、外れの比率が高い。が、当たればそれは紛れも無く『本物』である。都内と地方を食べ比べるにつれ、本物とは何か、オリジナルとは何か、その事を考えさせられた一年だった。
そうすると、勢い地方に目が向いてしまう。俺の好みに合う、食と純粋に、真摯に向き合ってる店を選んでいくと、結果的に地方の店ばかりになってしまったのは、多分そういう事だ。したがって、都内近郊にお住まいの方々にはなかなか参考になり辛いBestであろうが、どの店も、都内の同種の店の何倍もの満足を得られる事は間違いない。まずは紀行もの的に行ってみた気になって読んで頂いて、何かの機会があれば是非一度足を運んでみる事をお勧めする。
◆『肉』部門
米沢屋@深沢
今年も都内の焼き肉屋には何軒か行ったし、そのうち何軒かは紹介したが、結局年初に行ったこの店を越える店は無かった(都内ではね)。そもそも『肉を焼く』という極めてシンプルな調理法の料理ゆえ、これだけ焼き肉屋が増えると、あるレベルの肉質をクリアすれば、その中で差別化することはなかなか難しい。それはすなわち、自分の気に入った店さえ見つけてしまえば済んでしまうという事にもなる。そんな中で、この店のサーブの仕方を含めた個性と言うのは、ここでしか味わえない体験をさせてもらえると言う意味で貴重だ。そもそも焼肉屋に行くと決めた時点で肉を喰らうモードになっているのだから、幾らいい肉でも、お上品にチョコチョコ少量ずつ出されたって、それは焼き肉屋の進化の方向性として何かが間違ってるとしか言えない。そういう意味で、野生に還るというかw、肉をとことん満喫したければここは強く勧められる。
たきち@養老
もはや、養老でここ以外の店には行っていない。『養老行くか』といえばここなのだ。焼肉を食いたいのなら、ここ以外は必要ないと言っても過言ではない。たきちの名前を知った昨年以来、この記事を書くので久しぶりに『たきち、養老』で検索をかけてみたら、昨年とは比べ物にならないくらいの件数で引っかかる。tabelogにまで載ってしまった。営業再開した昨年以降、やはり実力通り徐々に有名になってきたという事だろう。幸いあまり行き易い店ではない上、警察が飲酒運転取り締まりをさらに強化すればw、さらに敷居の高い店になると思うので、混みすぎる心配はあまりしてない(今でも充分混んでるが)が、忙しすぎておかみさん辺りが倒れてまた休業になんてならない事を祈るだけである。
まさ吉@武蔵小山
店主の児玉さんによると、このblogで紹介して以降、結構ここを見て行ってる人がいるらしい。曰く『ラーメンだけ食って帰る人とかもいるんだよね〜』とかw。確かにここの〆メニューを絶賛したが、それは多分俺のせいじゃないと思うぞw(他にも書いてる人いるし。まぁそれもここ見て行ったのかもしれんが)。誤解されると困るので一応言っておくが、店主は別にそれを嫌がってはいない。店に立っているときは寡黙だが、そんなに頭の固い人なわけじゃない。ただ、俺からすれば、〆メニューだけ食って帰るなんて、なんと勿体ない事をするんだろうとしか思えない。酒の飲めない俺に、『酒が美味いからいい店』などという、ある意味言い訳は通用しない。その俺が何度も来てしまうほど、ここのメニューは全てにおいてクォリティーが高いのだ。質に比してのコストパフォーマンスも勿論高い。普段使いの店として、これからも末永く愛用していく事でしょう。
某中華屋@岐阜の『鴨フルコース』
今シーズンもやっとこの間解禁されたのでまた行ってきたが、やはり凄まじいとしか言えない。こんなめくるめく食体験をしてしまったら、こっちで普通に外食する事の意味を真剣に考えさせられてしまうではないか。ミシュラン?ザガット? これを体験してしまった俺にとってはそんなもの最早どうでもいいw。この店に出会うために、わざわざblogで『俺は美味いもの好き』と世間にアピールしてたんだな、と思えるほど、俺にとって画期的な出来事であった。今回のBest20の中でも、間違いなく一番特別な体験だ。
今も一見にとっては相変わらず敷居の高い店ではあるが、来月の終わりに、この店を借り切って宴会を開ける事になった。岐阜で行なう俺の結婚式&披露宴の打ち上げをここでするので、列席してくれる数少ない友人達に、ついにここの凄まじさを体験させてあげる事が出来るのだ。来る人は楽しみにしておいて下さい。
玉屋旅館@常陸大子の奥久慈軍鶏鍋
これも今年か。随分と昔に感じるが、それだけ密度の濃い一年だったのだなぁ。前置きがあまりに長く、メインの軍鶏鍋にたどり着くまでが長いのが玉に傷だが、ここの軍鶏鍋は、〆の雑炊含めて本当に美味かった。本文にも書いてあるが、行くなら予約時に、食事を鶏尽くしでお願いする(出来るのかやってみて欲しいw)事をお勧めする。また朝食は奥久慈軍鶏弁当を作ってもらい、暖かいうちに袋田の滝まで行って食う事を勧める。ああそういえば、今年の冬は去年果たせなかったあんこう鍋を食いに行きたいなぁ。そのまままた奥久慈まで足を伸ばすか。
◆『和食』部門
美かさ@宮崎台
ここに出会えた事も、今年のトピックの一つだなぁ。今後、天ぷらなら悩まずとも安心してここに行けばいいという店が出来た事は、さらに探求する上でもプラスになる。『ここに比べてどうか』という、確固たる基準が出来たということだからね。例えここより感動を与えてくれる店があったとしても、それがこの店が持つ価値を傷つけるものではないし、家から徒歩圏内にここがあるという安心感は、俺がこれから天ぷらを楽しむ上でこの上ない重要な要素になる。
幸楽@浜松
この店に関しては、エントリーの方で全て言いたい事は言ったのでここで何も書く事は無い。ただただ、存在してくれててありがとうという以外ない。あまりこういう事は言いたくないが、ここのとんかつが不味いと言ってしまえる人間は、真の意味でとんかつ、ひいては豚肉の美味さというものを全く理解していないのだと思う。もしここのとんかつが食えなくなったら、俺は食い道楽をやめる。
泉屋@河原町の『あじめどじょうのコース』
これは昨年11月に食べさせてもらって、レポートはこれから書く案件なのだが、フライングで載せてしまおう。詳細は後日書くが、とにかく、この食事によって俺のどじょうという淡水魚に対する印象が、180度変わってしまった。これまで浅草で食ってたあれは果たしてなんだったんだろう....いや、水のきれいな清流にのみ生息し、鮎と同じ川藻や苔を食べて育つこの『あじめどじょう』という魚は、もはやアレとは別種の魚なんだろう。比べる事自体ナンセンスかもしれない。仕入れ値でキロ15000円もするこの魚、俺の経験上間違いなくキングオブ淡水魚の一つである。そしてそれを最善の形で手を加える泉屋さんのアシストぶりにも脱帽する以外ない。この魚に出会えた事で、感動する基準がまた一つ引き上げられてしまった事は痛し痒しというところか。
小山荘@安乗の天然あのりふぐコース
『あのりふぐ』という名前を初めて聞いたのは一昨年だったか。その素性をちょいと調べてみただけで、この魚のためだけにわざわざ三重県まで行こうと思わせるには充分な魅力を放っていた。そして実際行ってみて期待以上の満足感を得られ、『そこでしか得られない価値』を十分に体現していた。ステータスが必要でふぐを食う人はそれでいい。しかし、ふぐという魚に、純粋に食材として『この魚でないと味わえない価値』を見いだしている人なら、東京でも下関でもなく、この地へ赴く事をお勧めする。
塩町館@常陸太田
ここを入れるかどうか最後まで迷ったが、応援の意味も込めて掲載。東京時代以来、久しぶりに行った慈久庵を入れるよりは意味が有ろうかと思う(あっちは俺が書くまでもなく名店だからね)。うどんとしての個性は、見た目も味わいもオンリーワン。讃岐とも水沢とも稲庭とも違う。素朴な力強い味わいで中毒性も高い。サイドメニューも、こじんまりとしていながらはずれ無し。特に地ネギの天ぷらはマストと言える。慈久庵とは違い店主もとっつきやすい人だったしw、蕎麦は食してないのでレベルはわからんが、愛想のいい慈久庵だと思えばいいかもしれない(慈久庵はうどん無いけど)。俺が行った時は食い終わるまで客が俺らだけだったのだが、ちゃんと商売になっているのだろうか。それだけが心配だ。味も店主も店の雰囲気もとても良かったので、是非ともがんばって欲しい。
たけちゃん@大洗
『なぜ、こんな畑のど真ん中で、こんな新鮮な魚食ってるんだろ....』という、初めて行くと驚く事間違いなしのシチュエーションも含め、大洗に来たら必ず寄りたい店No.1。刺身、焼き、煮物、揚げ物、どの魚を選んでも、どの調理法を選択しても間違いない。こういう店があるから、地方巡りはやめられないのだ。東京で魚を食うのがばかばかしくなる事請け合い。訪れた時期がちょうどアンコウ打ち止め後だったので、次回は是非ここでどぶ汁を頂きたい。
◆『イタリアン / フレンチ』部門
ダ・イーヴォ@恵比寿の『ソフィア・ローレン』
泣ける程感動する店と言うわけではないが、どの料理も裏切られはしない佳店といった感じの店である。しかしこの日出たモッツァレラの美味さが神がかってたのでランクイン。前菜で出たこのソフィアローレンしかり、その後のピッツァしかり、俺の人生で間違いなく一番美味いモッツァレラだった。あくまで『この日仕入れたモッツァレラが極上だった』という事なのだとしても、少なくともこういうレベルのものを仕入れるルートと気概が、この店にはあるという事は確かである。一昔前に比べると、今では都内に限らず美味いナポリピッツァが食べられる店は本当に多くなった。そんな状況の中で、この店はトップクラスのピッツァを出すというわけではないが、(ナポリピッツァにしては)薄めの軽やかな生地が好きならここはお勧め出来る。
Faniente@鷺沼
美かさに続いてご近所の名店2つ目。何度も言うが、ハッキリ言って俺は外でイタリアン食って感動することは滅多に無い。それだけでなく、素人の俺よりヘタクソな店がなんと多い事か。そんな中で、ご近所云々関係なく、海外も含めて、今年食べたイタリアン、のみならず西洋料理の中で一番満足度が高かった店だ。文句無く2007のBest20入り。この店、イタリアンにそれほど詳しく無い人も詳しい人もそれぞれ楽しめる懐の深さがあるが、イタリアン好きであればあるほど楽しめる店だと思う。不必要に目線を下げてないというか、志の高さがそのまま料理に表れている。接客もなかなか良いし、内装も気取らず清潔感があってなかなかの居心地を醸し出しているので敷居は低いが、その人が一皿の料理から『どれくらい気付けるか』で、この店の評価も変わるだろう。料理への意識の高さや知識が有れば有る程、この店は楽しめる。
Mardi Gras@銀座の『スモーク大腸のアンドゥイユ』
以前から有名店なので取り上げようかどうか迷ったが、このスモーク大腸のアンドゥイユは忘れ難いほど美味かったので、ここにも載せておこうと思う。これぞ内臓料理。日本でも、焼肉店などで獣の内臓を食す習慣が定着してきたが、こういう、内臓という食材に対する創意工夫だけは、西洋料理にはかなわないよなぁ。狩猟民族ゆえの、肉に対する経験値の高さを嫌という程思い知らされる。コンフィにしてもそうだし、その西洋人の(主に庶民の)英知をしっかり東京に伝える役割を、この店は担っているように感じる。その心意気にも拍手である。
TRATTORIA E PIZZERIA AMICI@筑波の『マーレ・エ・モンティ』
昨年食べたピッツァの中では一番美味しかったかな。イーヴォのピッツァはモッツァレラの質で食わせる印象であったが、こちらは全体のバランスがとても良く、生地、ソース、モッツァレラが三位一体となった感じ。真っ当にピッツァとして美味い。そういえば2、3ヶ月前に随分と久しぶりにnapuleに行った(レポートはしてませんが)が、あそこも相変わらず美味しい。今年食べた中で一番美味かったピッツァといえばNapuleのマルゲリータかなw。しかしこのアミチも、地方都市にあり、しかも俺が行ったのはまだ開店間もない頃だったにもかかわらず、それを全く感じさせないレベルのものが出てきて、その上店内外の環境は100倍こちらの方が良いときてる。十分にランクインの資格ありです。今後が楽しみな店である。そして今年は、日本初のナポリピッツァ協会認定店、赤穂のみかんぐみにも挑戦したいなぁ。
◆『中華』部門
港台双皮灌汤包@上海の『肉まん』
中華部門は、残念ながら、東京はおろか国内の店は一つもない。全て先日の上海ツアーで行った店ばかりである。別に国内の中華料理屋に行ってないわけではないのだが、比較するとどうしても本場には勝てない。まぁ今年は仕方が無いかな。
新天地近くにあるこの店の肉まんは、恐らくpasta-man.com史上もっとも単価の安い料理だ。なにせ一個25円ほどw。日本のコンビニ肉まんが4個以上買える。もはや『この値段の割には云々』とか、『コストパフォーマンス抜群』とか言う気も失せる。そんなレベルの話ではないのだ。たとえこれが10、20倍の値段だとしても、日本で全く同じ味が体験出来るなら、俺は迷わず金を出すが、そういう話でもない。この味は、金になると踏んだ誰かが日本に持ってきて、そいつらの手あかにまみれた時点で、全くの別物なのだ。現地で食べるからこそ意味がある。すきやばし次郎の寿司を上海で食ったって意味が無いのと一緒だ。『意味不明』と思うかも知れないが、往々にしてそういうものなのだ。
福一零三九@愚園路の『黄酒鶏』
これも吃驚したし、中国料理の深さ、強さに感嘆せざるを得なかった一品。勿論、俺が滞在したたった数日間の間に当たった店でさえ、日本の中国料理の店より不味い料理も無いわけではない。それでもこういう完成度の高い一品がある以上、本場で食う事の意味を悟らざるを得ない。単なる鶏の冷製では片付けられない説得力がこの一皿には詰まってる。他の料理も、シンプルで素朴ながら美味しいものばかりであった。初めて上海に行くならこの店はお勧めである。
松鶴楼@山塘街
中国には少なくとも7、8回は訪れていると思う(その大半は深圳だが....)が、その決して多くない中国経験の中で、最も満足度の高かった店がこの松鶴楼である。日本で食べた中国料理全てと合わせても、恐らく一番満足度が高かったと言える。特に写真の2点は、俺の中では数ある中国料理の中でも代表的な料理として永劫記憶しているだろう。それくらい感動的な一皿であった。その感動がいかほどのものかは、言ってみて体験する以外ないのが歯がゆいが、本当は少なくない旅費と時間を投じてでも、是非この店に行ってみて欲しい気持ちで一杯だ。
◆特別賞
鈴喜@川名のおかみさん
料理の質云々以前に、色んな意味で心に残った店を、今年も特別賞として2店挙げる。一つ目は川名の良心、鈴喜の店主とおかみさん。詳細は本エントリーを読み返して欲しいのだが、料理は勿論年間bestに入れるに相応しい味、そしてそれ以上にここのおかみさんの強烈な個性にやられる。ここの接客を一度体験してしまうと、飲食店のホスピタリティというものを根本的に考え直さざるを得なくなる。ここの接客を積極的に自分のものにしてしまえない、単に排他的としか捉えられないような、狭量かつ人間力の低い輩とは、俺は食べ物の話はおろか、会話する気さえ起きない。
うな慎@舞阪の『うなぎの刺身』
ここは人生初のうなぎの刺身を食した店としてピックアップ。想像以上に食べ応えがあってなかなかに美味しいものであった。ただし、これだけでは食事として成立しないと思うので、どうしてもうな重を頼む事になるのだが、こちらは正直ここまで足を運ぶ程の味ではないのが残念だ。うなぎの刺身も、どうしてもここでなければならないと言うわけでもないだろうということで、強くお勧めはしないw。
ということで、遅くなったがようやく2007年を総括する事が出来た。なんだか若干グチっぽい書き出しで自分で読んでもあまり楽しい一年になったように感じられないのだが、実際には異様に充実した一年だったし、来年も引き続き楽しい一年になる予感がひしひしとしている。ただ、ただでさえ世間の流れとは無縁な雰囲気漂うこのblogが、ますます『俺は俺』感を強めた事は確かだ。それくらい、ネット上や雑誌などのグルメ関連の記述が、俺の感じる評価基準と乖離していってると感じる。言い換えれば、ますます人様の参考にならない度を強めてる感もあるが、それでも愛読されてる方々の、今年一年のご健勝と、少しでも多くの美味に出会える事を祈りつつ、なるべく多くの自作パスタと美味を紹介していければと思っております。
今年もまた多くの美味に巡り会えますように。