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Faniente@鷺沼

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 やはり、地元近辺に素晴らしい店が出来ると、都内や地方で見つけるより嬉しさも大きい。ここいらに住み始めて、もういつのまにか10数年経ったが、良い店も(どうでもいい店も)、ここ数年で(徐々にだが)随分増えた。とはいえ、都内のトップクラスの店と比べても遜色無い、もしくはそれを凌駕するレベルというと、残念ながらまだ数える程だ。
 その中でも、美かさと並んで『都内などスルーして、わざわざここまで食いにきても絶対損はしないと言い切れる数少ない店』が鷺沼にあるFanienteだ。まだ出来て2年も経っていないが、この近辺にあってはかなり強気な値段設定にも関わらず、早くも週末は予約も取れない程の人気店になりつつある。鷺沼にはかつて10年以上住んだが、その頃には、こんな素晴らしいイタリアンが出来る事など想像もできなかった。有り体に言って、鷺沼に、こういう店に価値を見いだせるような人種が沢山住んでるとはとても思えなかったのだ。しかしそれはとんだ勘違いだった。よく考えてみれば、ちょっと丘を上ればサレジオ幼稚園のあたりは高級住宅街だし、美しが丘の住民も当然射程内だろう。あの辺に住んでる連中は本気で金持ちなので、それが近かろうが遠かろうが、それ相応のレベルの店でないと行こうなどとは思わない。つまり今まであったような多くの『ファミレス以上グローバルダイニング以下』な店では中途半端すぎたのだ。そう考えれば、もっとこういう店がこの近辺にあってもおかしく無い。ただしちょっとやそっとの味では満足しないだろうから、出店するならそれなりの覚悟が要るかもしれないが。

 この店は、広く無いながらも二つの部屋に仕切られ、それぞれフィックス(コース)とアラカルトの部屋に割り振っているようだ。あらかじめ予約時に『コース食いたい』と言っておけば奥の部屋に通される。コース内容は当日行ってみないと分からない、というより行ってみても分からないw。席について、スタッフと相談しながら(予算も含めて)組み立てを決めていく。こういうやり方は、その時の気分などで自分の好みを的確に料理に反映出来るので、俺的には凄く嬉しいが、イタリアローカルの食材も多く、イタリア食材の知識に乏しい人には少々辛いかもしれない。だがスタッフは懇切丁寧に説明してくれるのであまり心配は要らない(むしろ俺には既知の事が多くて多少クドかったがw)。それでも分からない時は完全に任せてしまった方がいいだろう。いずれにしろ、そんな形式上の事は関係ないほどの驚きと楽しさに満ちた皿を提供してくれる。
 ちなみにこの日は、魚介をメインに8000円(食事のみ)の予算でコースを組み立ててもらった。まぁランチにしてはちょっと贅沢だが、初めての店&ずっと来たかった期待感も手伝って少し奮発。ちょうどピエモンテから夏のポルチーニが入ってきてるというので、それはパスタに使ってもらう事にした。

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 料理の前に、いつものように水(ガス入り)を頼んだら、出てきたのはVichy Catalan。おお、これ前から飲んでみたかったのだ。流石に分かってらっしゃるなぁ。あ、そういや青山にVichy CatalanのCafe&Bar(仕掛けはPSD)が出来てたな。今度行ってみよう。
 で、肝心の味だが、勿論期待に違わず、この先ずっと家の常備水にしたいくらい美味い。どっかに売ってないか少し検索してみたら、前述のPSDから通販出来るようだ。が、1000ml12本で10000円弱か。流石に高いね。まぁそのくらい美味いけど。


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 まずはアミューズから。ウニをトマトのジュレとキュウリの冷たいソースに絡めてある。食材の選び方も面白いが、その処理の仕方も興味深い。トマトのジュレは、ピュレにしたトマトを漉してエキスだけ抽出したのだろう、見た目はそれとは全く分からないほど透明のゼリー。しかし口に入れると鮮烈なトマトの風味が感じられる。キュウリのソースも初めて食べたが、青臭さが全く無く、野菜の甘みだけが感じられる。それらがウニの濃厚な旨味と溶け合うと、えも言われぬ美味しさが口の中に広がる。初っぱなからこの店の楽しさが伺い知れる一皿。


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 続いて前菜。グリルした沖縄の島バナナの上にフォアグラのソテーを乗せ、周りにはコーンの冷たいピュレが満たしてある。周りに配されたクリームのようなものもコーンのピュレだが、液化窒素で強制的にスプーマにしてある。流行の手法ですな。バナナの深い甘み、フォアグラのコクと香ばしさ、コーンの爽やかで優しい甘みが温度差をともなって対比されている。これも遊び心に溢れたとても美味しい一皿。『さぞかし楽しんで作ってるんだろうなぁ』という料理人の気持ちが伝わってきて、こっちまで楽しくなってくる。


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 ここで本日の特選素材w、サマーポルチーニをご開帳しにイケメン店員がやってきた。カメラをテーブルの上に出しておいたら『写真撮りますか? ブログですか?』とか気軽に聞かれたが、『いいえ、単なる趣味です』と答えておいたw。一年ぶりのご対面。やはりその姿を見るだけで涎が止まらなくなる。ポルチーニは軸の部分が黄色いものほど美味いとされている。その辺をちゃんと現物で確認させてくれるのも有り難い。


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 そしてキノコの王様はパスタの具になってやってこられた。鶏肉などを詰め込んだ手打ちのトルテリーニと合わせたシンプルかつパンチのある一皿。生地は卵黄のみで打ってるようで、濃厚なポルチーニソースとの対比もいい。パスタを外で食ってもあまり感動はしないが、ここのはしっかり美味しいと思うし、皿全体のバランス感覚が絶妙だ。ポルチーニの火の通し具合も丁度よく、フレッシュならではの小気味いい歯ごたえと香気を堪能出来る。


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 パスタその2。事前に『何でも食べたいものおっしゃって下さいというので『オマールが食いたい』と告げたら『海老はスキャンピしかないです…』と言われたのでw、夏野菜とともにパスタにしてもらった。スキャンピ自体は小降りでそれほど感動する味ではなかったけど、身はちゃんと引き締まっててパサついた感じも無く満足感はある。具材のトマトと花ズッキーニの火の通し具合は流石。トマトソースではなくパスタにトマトのピュレを練り込んである。ちなみに上からかかっている黄色のソースはイエローズッキーニのピュレだ。やっぱこの時期のズッキーニは美味いね。


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 メインはキンメのポワレ。(どこ産かは忘れたが)下に敷かれたハマグリの出汁とともに食す。野菜は紫と黄色のカリフラワー。このハマグリがまた素晴らしい旨味をたたえたもので、身の小気味いい弾力もさることながら、こいつから出たスープも、濃厚かつ雑味が感じられない。キンメのふっくらとした食感とカリフラワーの甘さも相まって、余計な手を加えず素材の良さを十分に生かした一皿。ここまで趣向を凝らした皿が続いてたので最後は意外な〆方だったが、それが逆に新鮮であった。


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 最後はドルチェ。キャラメルとエスプレッソのセミフレッドだが、これをチョイスしたのは少し失敗だったかなぁ。これ、単品で食べればなかなか美味しいものだが、いかんせん濃厚過ぎてメインの繊細な余韻が消し飛んでしまった....これはまぁ俺のチョイスミスであって店には何の責任も無い。


 何度も言うが、俺はイタリアンの店で感動する事はあまり無い。それでも、単純に好きだというのもあるし、情報をアップデートしたいという意味もあって食べには行っている。だが他の料理ジャンルほど純粋には楽しめていないというのが本音だ。そんな気持ちで臨んでいるにもかかわらず、ここまで楽しい気分にさせてもらえたのは久しぶりの事だ。それもウチから車で5分くらいのところにある店で。10年以上前に鷺沼でよしみやを見つけた時、今年の始めに宮崎台で美かさを見つけた時、そして今回この店に出会った時。今のところこの3回だけ。和食以外では初めての事である。

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