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Pizzeria d' anjo@宇都宮

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 昼食で接種したカロリーは城の散歩で消費するのが我々の旅では最早定番と化しているが、福島にはおあつらえ向きに名城鶴ヶ城が鎮座ましましている。そういえば余談であるが、NHK BS2にて、『司馬遼太郎と城を歩く』という、名前だけでその素晴らしさが容易に察せられる番組が放映されている。俺はうかつにも昨年から放映されていた事を知らなかったのだが、最近e2 by スカパーでも開局した、あからさまに中年老年向けの『チャンネル銀河』というチャンネルで再放送されているのを偶然発見して以来、必ず録画して見ている。番組冒頭のナレーションが、「私は城が好きである。あまり好きなせいか、どの城址に行ってもむしろ自分はこんなものは嫌いだといったような顔を心の中でしてしまうほどに好きである」という、心の琴線に触れまくりの一文で始まる。ちなみに書籍版(買ったが未読)も発売されている。
 ああ、余談が長過ぎた。会津若松城は今回初めて訪れた。勿論、小学生の頃から憧れた、いつかは必ず訪れるべき名城であるが、名城過ぎてつい後回しにしていた。葦名氏から始まって伊達政宗、蒲生氏郷、上杉景勝、加藤嘉明など、名だたる大名が城主となるに相応しい美しき天守(を作ったのは加藤だが)を持ち、観光地としても有名。そして最も有名なのは会津戦争での白虎隊の悲劇だろう。資料館(天守閣)やお土産屋でも大フィーチャーされていた。そういやウチの会社の創業者は、白虎隊士の子孫(ってほど離れていないが)だということを最近知った。ちなみに白虎隊士19名の悲劇の物語は何度も映画、ドラマ化されているが、実際には300名近く(全体の8割強)の若者が生き残っていると言われている。


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 これが天守からの眺め。磐梯の山並みが美しい。一ヶ月に及ぶ激しい篭城戦が繰り広げられた場所とは思えないほど長閑で綺麗に整備された城址である。天守自体は、写真で見る方がより美しい気がしたw(恐らく30年近い長年の期待が発酵しすぎた所為だと思われる)が、その天守を含めた本丸周辺の庭あたりの雰囲気はとてもよい。wikiには会津戦争直後の壊れた天守の写真が載っているが、それを元に復元した割にはあまり似てるようには見えないのは気のせいかw。復元前の方が均整の取れた天守に感じる。とはいえ、この城の辿った運命のドラマ性を考えると、ちゃんと建て直した事自体は素晴らしい事である。


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 城の次は、一路那須まで南下して名湯鹿の湯に浸かろうという計画だが、ちょっと時間が早いようだ。そこで、余裕を見てスルーしてきた猪苗代湖に戻って、しばし湖畔散策を楽しもうという事になった。インターを降りて、そのまま下った突き当たりにあるコンビニの裏というシチュエーションとは思えない旅情溢れる風景。雪もまだ大分残っている。


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 やはり磐梯と猪苗代はセットで見てこそ価値があるよなぁ。何も無い場所でただ景色を楽しむ10数分のためだけに会津から戻って来たが、その甲斐のある絶景であった。さて、湖畔で冷えた身体を温めに行く時間だ。


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 那須に到着した時には日もすっかり暮れて、お湯に浸かるには丁度良い時間である。本ツアーの最後の晩餐に備え、胃腸の調子を整えるべく張り切って入湯。結論から言うと本当に素晴らしいお湯であった。個人的お湯ランキングでは全国3本の指に入る。内部の様子などはこちらを参照して頂くとして、その強い成分の通り、お湯は入った瞬間に『これは効く』と実感させられるものだ。白濁していて硫黄臭も強い。湯船が6つに分かれていて、奥にいく程高くなる(最高46度)のだが、俺は44度に常駐していた(流石に46度は遠慮した)。本格的な湯治に訪れているであろう常連とおぼしき年配の方々は、46度に常駐してキッチリ時間を計りながらでたり入ったりを繰り返している。そういう光景も含めての説得力かもしれないが、とにかく温泉としての本質的な何かを味わえる、名湯と呼ぶに相応しい立寄湯であった。

 さぁ、散歩と湯治のお陰ですっかり準備が整ったぞと我が胃袋も先ほどから信号を送ってくる。〆は宇都宮でイタリアンである。我が家のツアーでは比較的洋食比率が低いが、珍しくNot 和食、それもイタリアンで着地してみる事にした。さてその甲斐はあっただろうか。


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仁亭@郡山

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 相変わらず朝食らしからぬ量の朝食をやっつけ、直ぐ近くにあるアクアマリンふくしまへ。本日午前中のメインイベントである。この水族館、『環境水族館』というサブタイトルがついてる事からも分かる通り、学術研究を主とした水族館で、どちらかというとエンターテイメント性よりもアカデミックな要素を重視している。したがってどんなショボい水族館にもある、イルカやアシカなどのショー的な見せ物は一切無い、もしかするとガキにはあまり嬉しくない硬派な施設である。と、文章で書くと一見愛想のない水族館に感じられるが、その少し突き放したようなストイックな見せ方が美しくとてもいい。これまで行った水族館の中でも一番好きなものの一つである。
 一口に水族館といっても、そのコンセプトやそこから得られる経験、知識、感動は様々である。全国に数多ある水族館のうち、この施設の近くにたまたま住んでいて、『水族館といえばアクアマリンふくしましか知らない』という子供がいたら、その子は凄くラッキーだと言える。これほど『上質』な水族館は日本広しと言えどそれほど多くはない。学術的ではあるが、恩着せがましくも説教臭くもない。この絶妙な立ち位置は、水族館ではなかなかありそうで無かったバランス感覚だと思う。


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 人がまだ少ないであろう開館の9時丁度に到着して、お子様達がまだ来ないうちにゆっくり見回ろうと思っていたが、既に結構な家族連れがいて人気の程が伺える。詳しい内容については控えるが、水族館が好きなら、絶対に外せない施設の一つである。個人的には、このツアー後のGW中に行った『ちゅら海』よりも好きな水族館だと言える。イルカショーや、巨大水槽のようなキャッチーな見所は無いが、よく見るとそこかしこにちりばめられている気の利いたアイディアがこの施設の姿勢を物語っている。
 前述のように『海、生命の進化』をテーマにしてる事から、もっともフューチャーされている魚はシーラカンスである。勿論飼っているわけではないが、ROV(水中カメラ)を持って南アフリカやインドネシアに行っては度々撮影に成功していて、その映像が色々なパターンで流されている。そこに居もしない魚をあれだけ力入れて特集すると、本物をポンとただ置かれるよりかえって妙なリアリティと説得力がある。
 他に期間限定の特集なんかもマニアックでなかなか面白い。我々が行った時には清水大典と冬虫夏草の展示をやっていたw(7月までやってます)。子供が見て楽しいのか分からんが、今年40を迎えた俺はとても楽しめた。


 というわけで、午前中は珍しく食い物の事を忘れて水族館に熱中し、気付くと12時はとっくにまわっている。3時間半くらい居たのか…当然腹はぺこぺこだ。昼食を予定している店のある郡山へと急ぐ。

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うろこいち@小名浜

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 過剰な期待を充分に満たしてくれた昨晩の夕食を経て、翌朝は毎度のごとく朝食をキャンセルして、宿を7時過ぎに出発。そのまま小名浜の漁港へ向かう。今日午前中の目的は、珍しく食い物ではなくアクアマリンふくしまであったため、漁港好きの俺としては、折角なのでそこへ向かう途中にある小名浜の漁港を冷やかそうということで寄る事にしたのだ。当然漁港内の市場食堂(結構有名)ででも朝飯を喰らおうと思っていたのだが、事前の調べによると、小名浜漁港の近くには、うろこいちという一風変わった名前の、なかなか新鮮で美味しい魚介を出す食堂があるという。本来なら市場の雰囲気を味わう事を優先させる所だが、今回はあえて場外のこの店を優先。何故かというと、これは後ほど語るが、ちょっと面白そうな店だったので、朝8時の開店に合わせて訪れてみることにした。

 店の外観や内部は、なかなかしっかりとした公式HPからは想像出来ないほど裏ぶれてるw。お土産屋も併設されているが、来た時間が悪かったのか買える物が殆どなく、どことなく殺伐とした雰囲気を醸し出している。『これは見事に選択を誤ったか?』との思いが一瞬頭をよぎったが、意を決して入店。中には愛想の良いおばはんが待っていた。

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やまに郷作@大津

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 午前11時半から午後2時までの間に既に二食を消化した(しかも麺類二連発)にもかかわらず、胃腸はスゴぶる快調。このままもう一食くらい行けそうな雰囲気である。しかし、旬のアンコウ様を舐めてはいけない(そういう問題ではない)。40歳を迎えて、いつまでも自らの欲望に任せてやみくもに量をこなしていればいいというものではない。一つのツアーにもストーリー立てが必要である。流れの中でピークを作り、そこに向けて徐々に気持ちをアゲていき、ピークから徐々にクールダウンさせて、最後にちょっとだけ華やかにして大団円を迎えるというような、一連の流れを。ここは一つ美しい滝でも見て、この後に控えるメインイベントを迎える気持ちの準備をしようではないかと、流行る気持ちを抑えて、小木津自然公園に向かった。
 車で入り口まで行き、案内板をみると、結構な広さのようだ。中にはいくつか滝があるようだが、時間が限られているので徒歩で行ける範囲で一番近い、いしくぼの滝まで歩いてみる事に。途中、蓮の浮かぶ美しい池や水辺の白樺の林などに癒されつつ、10数分ほど歩いてたどり着いたいしくぼの滝は…


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 想像を絶するショボさであった。なんというカタルシスの無さw。近場で済まそうという魂胆を明け透けに見抜かれた結果の、茨城さん(Like水曜どうでしょう)の俺らに対する仕打ちだと思えば、むしろ純粋に公園を目的に来ていない(単なる腹ごなし)俺らの方が悪いという気にもなるが、公園自体は(特にキャッチーなものはないが)散歩するには実に気持ちよく、良く整備された美しい場所で、訪れた事を後悔させるような要素は何一つ無い。もちろんここだけを目的に訪れるような場所では無いが、俺のように食事メインのツアーをやりながら、行程を邪魔しない程度の時間で気軽に立ち寄れるような、このようにきちんと整備された気持ちよい公園があるというのは非常に有り難い事だ。

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手打ち蕎麦満志粉@ひたちなか

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 早めのランチを済ませ、本ツアーの目標に向けてさらに北上を続ける。途中阿字ケ浦の荒れ狂った海岸(写真。演歌が似合うほどの悲哀漂う景色)を冷やかしつつ、食後のおやつwとして第一候補に上げていたこの店に訪れるも、何故か準備中でやってる気配がない…うーむ、予約の電話を入れるべきだったか。しかし、予想以上に辺鄙な場所にあるなぁ。店の前の道は結構広いが、車は殆ど通らない。来る前から結構な期待をしていたのだが、それをますます増幅させるシチュエーション。隣の製麺所系うどん屋もちょっと気になりはしたが、後ろ髪を激しく引かれながらも大人しく第二候補に上げていた店に向かう。前回のツアーでもこの店の代替案として候補に挙げていたし、開店当時から結構名前は聞いていたので、いつかは訪れなければいけないと思っていた店である。


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 この店が、北茨城の店であるにもかかわらず、俺がオープンした当初にこの店を知り得たきっかけである、店主が「茨城新聞社発行の「蕎麦打ち名人が選ぶ50店」の編者である」、「全日本素人そば打ち名人大会の第3代名人である」などという情報は、ちょっと検索すればいくらでも出てくるので割愛。好きが高じて商売にしてしまったパターンの典型というか、インディーズからメジャーデビューというか、店主のそばに対する偏愛が伺い知れるトピックである。

 正直、昨年無事再訪することができた慈久庵を越える蕎麦は、今後しばらくは食えないだろう事は重々自覚しているので、あれ以上を求めるような過度な期待はない。というより、あの、蕎麦そのものだけでなくシチュエーションやそこに至るまでの道程なども含めた、ある種の到達点を体験出来たからこそ、以前より気楽に蕎麦と対峙し楽しむ事が出来る。年始に訪れた関の助六さんしかり、ようやく蕎麦と言う食べ物を俯瞰した視点で余計な先入観無く楽しめるようになったのだと思う。俺に取っては実に喜ばしい事である。

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小櫻@土浦

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 『ラーメン』という、いかにも日本らしい食ジャンルに、俺自身かつてほどの異常な執着を示さなくなってから久しいが、別にラーメン自体が嫌いになったわけではない。自分の中では数年前にある到達点のようなものを見たと思ってるし、実際ラーメンというジャンル自体もある地点に到達してしまったように感じられて、『今乗っておかなければ置いて行かれる!』というような、一種の強迫観念的感情が無くなっただけである。それは、ラーメンが進化と引き換えに深化を手に入れ、また俺自身多くのラーメンを食う事で、ワクワクするような刺激と引き換えに、いつ食っても後悔する程ハズレる事がない安心(選択眼ともいう)を手に入れてしまったからだ。唯一刺激を感じられるのは、まさ吉の〆に出てくる中華そばorつけそばや、泉屋さんの鮎ラーメンのような、ラーメン門外漢達が作る素晴らしいラーメンである。

 したがって、今回、北茨城〜福島食い倒れ小ツアーの口開けに選んだこの小櫻も、何より『安心』を味わうべく選んだ。食う前から『この店は、まぁ裏切らないわな』と。裏切らないだろうという根拠は、まぁ長年のカンとしか言えないが、この店を選んだ理由は、今回のツアーの目的が昨年行なった茨城縦断ツアーで、ギリギリ時機を逃して果たせなかった『大津のどぶ汁』だったゆえ、目的地に目的の時刻(夕方6時頃)到着する事を前提に逆算して、場所的にも時間的にも丁度ここがおあつらえ向きだったという事以上の理由はない。ネット上での感想などを色々読んでいると、ここの店主は、いかにもラーメンという食い物の魔力にとりつかれたような、良くも悪くもマニアックな人らしいし、作るラーメンも、いかにもマニアが喜びそうな凝りに凝ったもののよう(限定メニューも多い)だが、そういう求道的なこだわりは、このジャンルではもう随分と前から当たり前の事のように行なわれていて、この期に及んではさして驚かない。ラーメンとは『そういう』食い物だと思う。

 とはいえ、自宅から数十キロも離れた北関東の土浦に、わざわざ一杯のラーメンを食いに行くのに、何も期待せんというわけではない。限定メニューの多い店というのは、それがポーズでなければ、純粋に『少しでも新鮮な美味しさを追求し、それを形にしたい』という、クリエイターの想像力の発露だからである。それは生活のためというより生きるための衝動であり、言葉は悪いが、客を実験台にしてまでも新しい味を追求したいという、店主の勇気(というより、抑えきれない表現欲)の現れでもある。一歩間違えれば目も当てられない物を出して、取り返しのつかない程評判を落とす事もある。『限定』というだけでそれを有り難がるバカもかつては沢山いたが、最早そんな時代ではない。未だにそんな客を目当てに安直な『なんちゃて限定』で客寄せしようとする志の低い店も、もしかしたらまだあるかもしれないが、そうでない限り、今もなお拘りを捨てず挑戦し続けていると思われるこの店を訪れる事は、意義があると思う。果たしてその結果はどうだったろうか。

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蔬菜坊@武蔵小山

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 これからデザイナーとしてどんどん活躍してもらおう思っていた、なかなか有望な後輩の女の子が、『料理やりたい』と言って会社を辞めた(07年の6月の話だが)。普通の会社員なら『どんな理由やねん!』といって一蹴するところだろうが、こんなblogをやってる先輩が何を言っても説得力は全くないので、勿体ないと思いつつも応援するより他ない(羨ましくもあるがw)。それに現在のウチの部署は、一人頭の仕事量がハンパではない。それも単純な事務作業ではなく、まるでケツの穴まで広げてみせるかの如く、己のクリエイティビティを全開(全壊)で発揮し続けなければいけないため、その負荷はこの道15年の俺でも相当なものだ。普通にしてれば並以上にモテるであろうビジュアルと性格を有する者でも、あの修羅場の中にあっては、見た目的にも精神的にもヤサグレざるを得ない。『パスタマンさん、見て下さいよ〜』といいながら、俺の席の後ろで頭を下に向け、ガリガリと両手で頭を掻いて大量のフケを落としている様を見た時、『ああ、女としての何かが壊れたのだな』と、表向き爆笑する俺の心の中は悲哀に満ちていた。そんな気持ちもあって、もっと女性として輝ける職場があるのなら、いくらこの仕事にセンスを発揮していたとしても、辞める事を祝福しないなんて事は出来ない。

 その後輩が、俺が結婚したことを祝して飯をご馳走したいという。丁度(仕事絡みの事由で)渡さないといけないものもあったし、料理人を目指すという彼女がどんな店を選んでくるのか楽しみでもあったので、久しぶりに会社帰りに会って夕飯を食う事にした。3ヶ月ほどのインターバルを経て顔を合わせた後輩は、表情も言葉もすっかり女らしく生き生きとしていて、いかにかつての職場(そして引き続き俺の現在の職場…)が過酷であったかを相対的に物語っていた。

 現在彼女は直接料理の仕事には就いていないが、某ネズミキャラの会社のグッズの企画の仕事をしながら料理の学校に通い勉強をしているという。もともと脂っ気の強い食い物はあまり好まず、北海道出身らしく魚介と野菜が中心の食生活を送っていたが、最近は精進料理に興味があるらしい。そんな彼女が選んで来た店がこの蔬菜坊だ。もう随分と昔に噂は聞いていたが、残念ながらそっち方面にはあまり興味がいかない質だった俺にはなかなか縁のない店だった。しかし齢40を間近に控え、流石に昔と比べると脂負けしがちな身体になってきたこともあり、今のうちにこういう料理も攻めておいた方が得策と、喜んでその選択に同意した。今だって、誰かに連れて来られない限り進んで行くタイプの店ではないからね。それに、これから料理人を目指す彼女の方向性を、そのチョイスを通して知るというのも興味深い事であったし。聞けば彼女は、今は野菜のみの生活を送るようにしているという。だから今日のコースも全て野菜のみで御願いしたらしい。俺を知る人なら、これがどんなに挑戦的な誘いか分かってもらえると思うw。

 店は武蔵小山から目黒通り目指してしばらく歩いたところにある。武蔵小山といえば、今の俺的には『まさ吉』の一択しかない。また、いずれ紹介したいと思っているが、単に腹が減っただけで時間もないなら『じらい屋』で醤油ラーメンというのもいい。また商店街の中にもなかなかいいモツ焼き屋があるという。いずれにしろ禅料理を食おうなどと思いつく土地ではない。果たしてそんな俺の先入観を覆してくれるような店だろうか。期待は募る。

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◆2007美味かったBest20

◆総括

 今年は、ミートホープ事件や賞味期限切れの話をはじめ、さまざまな食にまつわる問題が世間で騒がれた年だった。これについては言いたい事は色々あるが、大体この時書いた事の延長線上の話なので割愛。俺はそもそも、普段から魚や肉は市場で買ってきて捌いているし、スープストックやトマトソースを作って冷蔵庫に寝かせているし、チーズや生ハムなども塊で常備されている。それらが鮮度抜群の『美味い』状態から、どういう段階を経て『食えない』状態になっていくのかを知っているから、賞味期限などというものは全て自分で判断して決めるべきものだと思っている。昔の主婦は皆そうだった。魚屋や八百屋で、店の親父やおかみさんと会話しながら買い物して、それらを自分で調理していれば、それが冷蔵庫の中でどうなっていくか、美味く食える時期や調理法はどういったものがあるか、皆当たり前のように知っていたのである。別に料理が上手いか下手かを言っているのではない。『そういうスタンスの生活をしているかどうか』を言っているのだ。
 しかし、ご丁寧に、メーカーが半ば主観的に決めた賞味期限のシールが貼られた、コンビニ弁当やスーパーのパック売りの食材や冷凍食品に慣れた消費者が、今更そんな時代に戻れるとはとても思えない。一旦甘やかされて育ったのだから、大半の人間が、問題に対して自分の無知を棚に上げて単にヒステリックに文句をまき散らすだけしか出来ないのも致し方ない事だ。食育だマクロビだ、ロハスがどうとか言っているが、多分今の子供は危ないからといって包丁すら持たせて貰えないのだろう。この、食の世界全体を覆う『過保護感』が(書物の上だけでなく体験として)知るという行為を妨げ、そういう態度が消費者側に蔓延してるから、メーカーもそれを感じ取ってつけあがるのだ。

 一方そんなご時世にも関わらず、相変わらずグルメブームは続いてる。ミシュラン東京も発売されたし、雑誌もグルメ特集ばかりだし、tabelogや一般blogでも美味い店紹介は百花絢爛だ。しかしその大半は、上記の『過保護感』一杯の人間が、その価値観を前面に出した文章なので、リアリティも説得力もへったくれもない。ひどいのになると、光り物が好きではない人間が寿司を語ったり、コルニチョーネ(耳)を残す人間がナポリピッツァを語ったり、一体何を基準に『美味い』と評しているのか、もはや俺には理解不能なものもあったりする。抽象的だが、そこに食に対する愛を全く感じない。愛のなさゆえの無知も蔓延している。無知ならまだしも、愛もセンスもないのに知識『だけ』ある人間(もしくは、知識さえあれば語る資格があると思っている人間)が最もタチが悪いのだが、そうとしか思えないような記述や会話を目の当たりにする機会が年々増えていっている。別に悲しくも腹立たしくもないが、可哀想だとは思う。

 このblogで毎年やってる『美味かったBest20』。今年は海外も含めた東京以外の店が大半をしめた。それは多分、多かれ少なかれ、前述のような世の中の空気がそうさせているのだと思う。ミシュランも含め、今都内で騒がれている店や、それを評価している記事や人間に全く心魅かれないのは、今よしとされている、ある種の価値基準に全く同意出来ないからであろう(唯一、ディスカバリーチャンネルでやってる『No Reservations』は、ある意味共感出来るスタンスだと言えるw)。それはすなわち、前述のように、その情報量に比しての根拠、よりどころ、モチベーション、(俺の言葉で言えば愛)のあまりの希薄さゆえの説得力の無さだと思う。
 それに、誤解を承知で敢えて言えば、都内の店というのは、江戸前の食文化、もしくはその店だけの独自の料理を除いては、大半はサンプラー、コンピレーション、リイシュー、つまり『それに近い味』でしかないのだ(勿論、まれに本物もあるし、場合によっては本物を越えてしまったものもあるかも知れないが、ここではそういう意味で言っているわけではない。存在意義は確実にある)も。それらを通してその料理の魅力を知る事は重要だが、イタリアン、フレンチ、中華など海外の食は勿論、日本の地方料理にしたって、よくも悪くも、オリジナルはその土地にしかない。よく考えれば当たり前の事である。勿論東京近郊に比べて地方は、外れの比率が高い。が、当たればそれは紛れも無く『本物』である。都内と地方を食べ比べるにつれ、本物とは何か、オリジナルとは何か、その事を考えさせられた一年だった。
 そうすると、勢い地方に目が向いてしまう。俺の好みに合う、食と純粋に、真摯に向き合ってる店を選んでいくと、結果的に地方の店ばかりになってしまったのは、多分そういう事だ。したがって、都内近郊にお住まいの方々にはなかなか参考になり辛いBestであろうが、どの店も、都内の同種の店の何倍もの満足を得られる事は間違いない。まずは紀行もの的に行ってみた気になって読んで頂いて、何かの機会があれば是非一度足を運んでみる事をお勧めする。

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助六@関

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 披露宴も無事終わり(まだ東京でのパーティーがあるが)、仕事も小休止に入ったので久しぶりに書き始めたのに、このブログを始めてから一度もやったことがなかった、書き込み保存忘れによる内容喪失…悲しい。しかもあまりにショックで暫く放置しておいたら、その時何を書いたかすっかり忘れてしまった。久しぶりのエントリーだというのにテンション落ちまくりですが、そんな事は読んでる人には関係ない。エントリーを上げる事自体久しぶりでカンを取り戻すのにも一苦労ですが、ヨチヨチと始めたいと思います。


 岐阜県の関という町は、日本刀好きの俺としては、世界にも名を知られる名刀匠、孫六兼元の里として見過ごせない町である。岐阜市内から車で2、30分で行けるので、しばしばカミさんの実家から東京への帰り道に寄って、刃物会館を冷やかしたりしつつ、ここの蕎麦を食ってから帰る。ここと、後日紹介する予定のメッゲライ・トキワは、関では外せない佳店である。ともに泉さんに『行ってみ』と勧められた店だ。

 パスタマンを名乗る前は、蕎麦にも深くハマっていた。パスタほど上手くいかなかったが、自分で打ってみたりもしていた(全く美味しくなかったけどね…)。蕎麦に関しては完全に東高西低だと思っている(そして実際今まではそうであった)俺にとって、西の蕎麦というのは、はっきりいってあまり興味のない対象であった。この店もご多分に漏れず、泉さんの勧めが無ければ行かなかっただろう。

 俺の思う蕎麦の魅力とは、一言で言えば、キレだ。蕎麦自体も、かえしも、まるで日本刀のようにキレ味が鋭く無い事には、蕎麦として成立しないと思っている。大雑把にいうと、今までの俺の経験では、東で味わえるキレを西に感じる事は少ない。西の蕎麦にはどことなく人の良さというか、丸さを感じてしまうのだ。有無を言わさず一刀両断してしまう容赦のなさを感じない事が多い。抽象的だが、これまでの印象はそうだった。

 そして、泉さんの紹介というのもあるが、刃物の町、関の蕎麦屋に、果たしてそれに相応しい切れ味が備わっているかというのも興味があったのだw。その結果は以下に。

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あじめどじょうのコース@河原町泉屋

 もう既に2007ベストにも載せてしまったし、店としては既に紹介してしまっているのだが、、店の紹介というよりは貴重な食体験としてどうしても紹介したかったので、エントリーを上げる事にした。このエントリーを皮切りに、岐阜の食を3連ちゃんでピックアップする予定(いつ完了するかは未定)。


 さて、この『あじめ(味女)どじょう』という魚。淡水魚に限らず魚類としてはかなり希少な部類に入る。このblogを読んでる殆どの人が食べた事も見た事もないだろう。当然俺も知らなかった。だが調べれば調べる程、この未知の魚の凄さを感じ、やがて自分の無知を恥じ、いてもたってもいられなくなった。なにせ個体数も少ないが、食材としても15000円/kgというとんでもなく貴重な魚である。高級という意味では大間の本鮪クラス。
 それゆえ、どじょうという名前で、生物学上もどじょうの仲間であるが、味は浅草のアレとは全く別物と言っても差し支えない。後ほど個々の料理紹介の中で詳しく述べるが、特に子持ちの味女の鮮烈かつ濃厚な風味と爽やかな後味は、筆舌に尽くしがたいものだ。ふぐや黒鮪の大トロあたりをピラミッドの頂点として、訳知り顔で安心している場合ではない。日本にはまだまだ悔しくなる程未知の美味が沢山ある。それを痛い程教えてくれたのが今回の食事であった。


 そもそも、なぜ信州でも近畿の人間でもない俺が、このような貴重な魚を食す機会に恵まれたかというと、いつもお世話になっている川原町泉屋の泉さんからこんなメールを貰ったからだ。曰く、

『ところで、パスタマンもご存じないでしょうが、幻の川魚「アジメどじょう」が入荷しました。仕入れ価格 15000円/kg 。とんでもなく貴重なものですが、かなり確保しました。「唐揚げ」は最高、今、丸鍋を開発中です。清流にしか生息しないので、泥臭さが全くなく、ネギや牛蒡を入れると、かえって味の邪魔をしてしまいます。』

 わざわざ川崎在住の俺に、岐阜からこんなお知らせのメールをくれる泉さんも泉さんだが(『奴なら喜んで来るぜ、きっと』とすっかり見抜かれてるw)、当然のように車飛ばして岐阜まで行く俺も俺である。でも行かざるを得ないのである。柳川には必須のネギや牛蒡でさえ味の邪魔をしてしまうほどの泥鰌って、一体どんだけの味やねんと。想像はつかないが、少なくともこれまでの俺の常識(つまり先入観)を覆す味を持つ素材である事だけは確かである。それを鮎使いの名手が料理する。こちらにいては、幾ら払っても体験出来ない時間を過ごせるだろう。その時間の全てを以下に記す。

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松坂牛肉焼つる屋@渋谷
パスタマン 蘇州を食らう〜最後の食事〜
パスタマン 蘇州を食らう〜4日目夕食〜
パスタマン 蘇州を食らう〜4日目昼食〜
パスタマン 上海を食らう〜4日目朝食〜
パスタマン 上海を食らう〜3日目夕食〜
パスタマン 上海を食らう〜3日目昼食〜
パスタマン 上海を食らう〜3日目朝食〜
パスタマン上海を食らう 〜2日目夕食〜
パスタマン 上海を食らう〜2日目昼食(その2)〜
パスタマン上海を食らう 〜2日目昼食(その1)〜
パスタマン 上海を食らう〜2日目朝食〜
パスタマン 上海を食らう〜1日目夜食〜
パスタマン 上海を食らう〜1日目夕食〜
パスタマン 上海を食らう〜プロローグ〜
韓国出張報告
Faniente@鷺沼
遊食館・魚伊@興津
幸楽@浜松
静岡茶喫茶ちくめい@静岡駅前
川原町泉屋@岐阜
うな慎@舞阪
海苑@代官山
本の紹介
La Piccola Tavola@永福町
まさ吉@武蔵小山
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜最終回:三日目夕食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その8:三日目昼食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その7:三日目朝食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その6:二日目夕食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その5:二日目昼食(ダブルヘッダー)〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その4:二日目朝食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その3:一日目夕食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その2:一日目おやつw〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その1:一日目昼食〜
'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜プロローグ〜
中華そば伊藤@王子神谷
Mardi Gras@銀座
あさくら@滝ノ水
時よし@小田原
厚木大勝軒@厚木
〜pasta-man.com主催『とんかつ北品川へ行こう!』オフ開催のお知らせ〜
'07『中部3県食い倒れ紀行』その6〜最終日の夕食
'07『中部3県食い倒れ紀行』その5〜3日目の昼食
'07『中部3県食い倒れ紀行』その4〜2日目の夕食
'07『中部3県食い倒れ紀行』その3〜2日目の昼食
'07『中部3県食い倒れ紀行』その2〜1日目の夕食
'07『中部3県食い倒れ紀行』その1〜1日目の昼食
ダ・イーヴォ@恵比寿
big mam@中目黒
美かさ@宮崎台
田なか@高津
筑紫楼@広尾
米沢屋@深沢
◆2006美味かったBest20
永利@池袋 (その2)
庭つ鶏@五反田
たか嶋@沼津
イタリア料理マリーノ@沼津
魚河岸丸天@沼津
富士弁@川崎北部市場
永楽@大井町
増吉@田中屋せんべい総本家
Patisserie du Mouton Rouge@鷺沼
Bon Vivant@青葉台
Bel Paese@青葉台
ききょう亭@宮崎台
キュルノンチュエのアルザス風レバーのパテとフェゲティーノ
洛中おうどん げた屋@水沢
深圳出張報告その4〜『おまけ編』
深圳出張報告その3〜『湖南料理編』
深圳出張報告その2〜『飲茶編』
深圳出張報告その1〜『広東料理編』
山濤庵@あざみ野
上海家庭料理 大吉@世田谷
むくの実亭@港北
天秀@川崎北部市場
ペナン/シンガポール出張報告
'06 九州グルメツアー5日目〜『鹿児島食べ歩き〜帰京』
'06 九州グルメツアー4日目〜『湯布院、熊本、鹿児島パスタ会』
'06 九州グルメツアー3日目〜『さよなら福岡、そして湯布院へ』
'06 九州グルメツアー2日目〜『呼子のイカとパスタ会、そして久留米の夜食』
'06 九州グルメツアー1日目〜『博多の食と唐津城』
吾妻橋やぶそば
永利@池袋
大信水産@太田市場そば
宮崎牛ミスジのソテー 焼きトマトとエゴマのバターソースを添えて
ボンジョリーナ@池ノ上
mois cafe@下北沢
福田屋@渋谷
ジャンボ@白金 (篠崎との比較も交えて)
魚豆根菜やまもと@恵比寿
綾@宮前平
まるい@押上のガイドライン
ゆうじ@渋谷
『とんかつ北品川』のガイドライン
美濃忠のようかん&とらやの超限定わらびもち(非売品)
欣来@恵比寿
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその6 『山びこ(焼肉店)』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその5 『丸明(精肉店)』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその4 『下呂温泉合掌村〜民芸食事処山びこ』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその3 『仙游館』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその2 『松寿庵』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアー〜幕間〜 『熊本ラーメン一番星』
名古屋〜下島温泉〜養老ツアーその1 『キッチンダイシン』
砦@神泉
たまプラ〜鷺沼パン屋ツアー
天龍菜館@横浜中華街
ゆるり@池尻大橋
ぶらり途中下車グルメ〜鎌倉編
京城苑@岐阜〜ツインアーチ138〜旅の終わり
国宝犬山城
河原町サロン@河原町泉屋
CUCINA Siena@蘇原(岐阜)
コメダ〜航空宇宙博物館@各務原
Essenza@丸ビル
◆2005美味かったBest20
川崎ラーメンシンフォニー