洛中おうどん げた屋@水沢
もはやうちの第二の台所となりつつある川崎北部市場横に、洛中おうどん げた屋という京うどん(ってそもそも何だ?)の店がある。市場内に魅惑的な食堂がいくつもあり、おまけにウチから市場に行く途中に讃岐うどんの名店綾もあるので、なかなか行こうという気になれなかったが、先日何気なくこの店の事を検索していると、なんとかつて世田谷246沿いにあった花背の大将が、放浪の果てに開いた店だという事が判明。そういう事ならと、市場へ行くついでではなくこの店のためだけに水沢まで足を伸ばしてみた。
花背は、今は名前も変わって、うどんよりむしろご飯ものを食わせるような店に成り下がってしまったが、讃岐うどんのさの字も無かった10年ほど前は、東京で殆ど唯一うどんらしいうどんを出していた店だった。当時圧倒的に蕎麦党だった(というより、うどんなどと比べる事すら思いつかなかった)俺が、ちゃんと食える貴重な店だった(といっても2、3回しか行ってないが)。こちらによると、以前は屋台だった事、そして店舗になるまでに成長し(俺が行ったのはこの頃だな)、その後どうやら大将は研ぎ師として放浪してしまったらしい事が判明w。そして再び腰を据えて作り上げたのがこの店と言う事らしい。が、今はまた放浪に出てしまったようだw。ということで、そんなに思い入れがある店ではないのだが、こういうサイドストーリーが好きな俺としては行かざるを得ないわけである。それに『讃岐後』の俺の舌に果たしてあの味がどう映るかも気になっていた。
一刻も早くうどんをすすりたい衝動を抑えて、まずは出汁巻きから。見るからにフワフワそうな焼き印入りの卵は、甘味も出汁の加減も非常に俺好みで歯触りも秀逸。卵の濃厚さはそれほど感じられ無いが、上品で前菜としては申し分ない丁寧な仕事であった。これなら十分期待出来る。
おお、大徳寺納豆もあるのか。うどんに合うのかどうか分からないが、俺はこの塩辛さと独特の酸味が意外と好きなのだ。といってもこちらで手に入るわけもなく、食う機会はなかなか無いし、通販するまでには至らない。が、今回久しぶりに食べてみて、これはパスタに使えるなぁと思った。からすみやゴルゴンゾーラ、アンチョビのような感覚で、塩気と旨味を補うバイプレーヤーとして。そう、以前作った鮎のなれ鮨パスタのノリだ....と思って検索してみたら、カノビアーノの植竹シェフが既にやっていたw。
うどんのお供に、ミニ親子丼も頼んでみた。これも美味い。甘めのタレながらクドくなく、出汁の効き方がやはり俺好み。鶏もなかなかジューシーで、うどん屋でついでに食うものとはとても思えない。花背の後の、あのご飯ものばかり充実した某店とは比べ物にならない。他にもご飯ものは4種類ほどあったので全部食べてみようと思う。
そしてとうとううどんの登場。茄子や赤ししとう(嬉しいね)の天ぷらが乗った冷やしぶっかけだ。流石にあの頃の味と同じかと言われてもあまりに昔過ぎて記憶が薄いのだが、讃岐を経験した今でも充分『響く』味であった。博多うどんのようなソフトさでなく、かといって讃岐のあの暴力的なまでの弾力でもなく、あくまで優しくしなやかなコシ。粉の風味もそこそこ感じられて楽しい。出汁も前述の卵や親子丼と同じく甘めだが出汁の効いた美味しいもの。近くの綾とは勿論別物だが、また違った魅力を放っている。わざわざ来てみた甲斐があったというものだ。
美味しく食べて満足した後でも、結局『京うどん』というものがどういうものなのかは良くわからなかったが、そういえばここの地名は水沢だ。勿論あの水沢うどんで有名な群馬県の水沢とは関係ないが、これも不思議な偶然、この店も日本でただ一軒の(川崎市の)水沢うどんという事にしてしまえばいいw。
場所柄それほど混む事もなさそうだし、今後も市場に来た際のランチの選択肢として活躍する事だろう。綾の行列が待てない時なども、『ふん、げた屋があるもんね』と悔しい思いをしなくて済みそうだ。
Comments
いやー、マジでレベル高そうな親子ですね。
大徳寺納豆って発酵食品でしたっけ?
Commenter: matsu | 2006年09月05日 15:35
親子丼なかなかでしたよ。
以前食った藤沢のデパート祭事で食った比内地鶏の親子丼には負けるけど。
大徳寺納豆は炒った大麦をまぶして麹を付けて、
塩水に浸して天日にさらして作るらしい。
そのままバクバク食べるものではないけど、
つまみ的に食うとハマるね。
Commenter: pasta-man | 2006年09月06日 04:39