農連市場〜第一牧志公設市場
出だしは悪かったものの、最後はとても満たされた気持ちで終われた昨夜の…いや今朝の食事から数時間。今日は市場で朝飯を食おうということで、朝は少し早めに起きて、市民の台所から観光地として変化を遂げた第一牧志公設市場へ向かう…予定なのだがその前に、やはり市場本来のディープさもしっかり味わっておこうと思い、そこから徒歩でいける農連市場を先に歩いてみた。華やかな国際通りに面した公設市場とは違い、これが本来の島人の生活環境なんだろうなと思わせるイナタさがいい。GWだというのに人通りも少なくまるで過疎の町のような雰囲気。ここから10分も歩けば竹下通りのような場所があるのに…まさに光と陰という感じ。
その農連市場、流石に朝8時では遅かったのが、そもそもこういうショボさが通常の状態なのか分からないが、買っていいものかどうか迷うほど怪しい見た目の食材ばかりで、いくら食に関してはチャレンジャーな俺でも流石に冷やかすだけに留めておいて、そそくさと本来の食事場所である観光市場に向かった。
ほどなく第一牧志公設市場に到着。肉や野菜、また外には服飾や雑貨などあらゆるものが取り揃えられているが、我々は脇目もふらず魚市場に直行。一階の仲買人から魚を買い、二階の食堂で調理してもらおうという、この旅でも最も観光らしい食事を楽しもうという寸法だ。観光地化した市場の食堂に、ハナから料理としての完成度は全く期待していないが、本土では見かけない珍しい魚をその場で調理してもらうというのはそれだけで楽しい。また、今回のツアーで最も食ってみたかったアバサー(ハリセンボン)を食す機会はここだけなので、余程下手な料理人でない限り楽しめるだろう。
結構な数の店が並ぶ中で、金髪グラサンの、いかにも田舎のヤンキーな風情のにいちゃんがやたらと絡んでくるので、「どうせどこで買っても大して変わらないだろう」と高をくくり、一切任せることに。なにせ昨日の鶏がまだ多少残ってる段階での朝食である。余り選びすぎると後に響く。ヤシガニやらセミエビやら魅力的な食材も数多く売っていたが、今回選んだのはミーバイ、アサヒガニ、そしてメインのアバサーの3種。皮が剥がされたアバサーのあまりの可愛らしさに萌えた。ミーバイは半身を刺身、残りは焼いて、アサヒガニは味噌汁、そしてアバサーは当然唐揚げである。その旨を告げて、魚を運ぶあんちゃんの後ろについて二階へのエスカレーターに向かう。
二階に上がると食堂もいくつか軒を連ねていて多少選択の余地はあったのだが、時間が早かった(まだ9時前)ためにこの「道頓堀」という一軒しか対応出来ないようだ。まぁ下で金髪グラサンの店を選んだ時点で、例え時間が何時だろうが自動的にこの店に決まっているのだろうけど(当然提携というか、袖の下の行き来はあるだろうし)。いずれにしろ朝からまた豪勢な食事になりそうである。
人はまばらに歩いて入るものの、食を待っているのは俺らの他に一組だけという状況の中で、予想以上に時間がかかって第一の皿到着。まずは豪華な舟盛りである…ってをい!、こんなもの本来朝の9時前からお目にかかるものではないだろうw。通行人も「は?」という顔で我々の横を通り過ぎていく。
そもそも、下で買ったもので刺身にすると言ったのはミーバイだけの筈なのに、なんでマグロやらシャコ貝やら甘エビやらモズクやら海ぶどうやら余計なものが色々乗ってるんだ? まさかサービスのつもりか? うーん、普段ならとても嬉しいのだが、流石に今の胃袋の状況で計画外の料理というのは正直余計なお世話である。しかし俺は出されたものは全て食う主義なので残せない…仕方ないので食う。味の方は、まぁ刺身であるw。鮮度はいいのだけど、後のことが気になりすぎてとても味わう気持ちになれないwし、既に初日の夜に満足のいくお造りをたらふく食ってるので、なおさら消化試合的な気持ちになってしまう。今の俺にとっては蛇足以外の何物でもない。結構美味いのがかえって腹立つw。
次はミーバイの残りをバター焼きにしてきた。確かに焼いてくれとは言ったが、何故にバター…、舟盛りといい、俺の今の状況とその後の計画を知っての嫌がらせか? 確かにこれもなかなか香ばしく焼き上がっていて美味いのだが、初めにあんな舟盛りが来ると知っていたら、せめて煮付けにしてもらうのに…と、後悔させるには充分なヘビーさ。だが、ミーバイは結構淡白で歯ごたえが楽しい魚なのでバター焼きは確かに合ってる。これもしっかり完食して、やっとの思いで目的のメイン料理にたどり着く。
あの愛くるしいハリセンボンの変わり果てた姿。想像通りなかなかイケる。フグに近いがより身が柔らかく味わいも濃厚さもこちらの方が濃いようだ。フグのような繊細さに少し欠ける分、主役感が強い。勿論決して技術の高い揚げ具合とは言えないけど、この魚の魅力は十分以上に伝わった。やはり多少無理してもここで食べられて良かった。
最後は味噌汁。ちなみに写真は無いが、白飯もしっかり食ってるw。アサヒガニという蟹も初めて食べたが、「これは味噌汁ぐらいにしかならんかなぁ」、という味。淡白というよりは蟹らしからぬ味の無さで、食べにくさを越えた末のカタルシスは希薄だ。一度は食ってみてもいいが、沖縄に来たからといって、殊更に食べなくてはいけない食材ではない。
食い終わってチケットを確認すると、やはり舟盛りのミーバイ以外の魚は全てサービスのようだ。サービスの方が多いがなw。これで5500円が果たして高いかどうかは、皆さんの価値観に委ねることにする。4人ぐらいで来れば朝食としては結構な満足度だろう。個人的にはアバサーの唐揚げが食えただけで満足である。そもそもアバサーはその辺の店では食えない魚らしいので、確実に食える方法の一つとして一度は試してみることをお勧めしとく。
本当はこのフロアにあるサーターアンダギーがとても美味いと事前に聞いていたので、食後に一個軽く摘もうかとも思っていたが、当然今の俺の胃袋にそんな余地なし。まぁ飯食ってる間にもう売り切れになっていた(飯食う前に覗いたらまだ開店前だったのに…人気あるのね)ので丁度良かったが。サーターアンダギーは市場のどこかでお土産として買う事にしよう。
さて、現状を鑑みるに、これは並の徒歩量では消化出来ない、つまり次の食事(結構ヘビーなものになる予定…)に大いに差し支えるということだ。しかも、20時のフライトまでにあと2食食う予定なのだ。午前中は北上して座喜味城にだけ行く予定だったが、もう少し足を伸ばして残波岬の灯台にも登る事にした。このツアー初の海辺であるw。予定より一時間程多めに歩いたのだが、あまりの暑さについうっかり紅芋ソフトを食べてしまいw、自分でも最早何がしたいのか分からなくなりつつ、再び南下しつつ昼食の店に向かう。ここも事前の調べからかなり高い期待を抱いていた店である。というより、この後食べる2食が当ツアーの本当の目的であると言っても過言ではない。