パスタマン 上海を食らう〜3日目朝食〜
◆焼き小龍包@小楊生煎館
来た。ついに来た。旅の中日を迎えた朝、激しくギュルギュルと鳴る腹の不快さで目が覚めた。ベッドから起き上がる前から既に全身嫌な汗。勿論何かに当たったわけではなく、単なる食い過ぎだ(俺は海外で食い/飲み物にあたった事が全く無い)。やはり炭水化物は侮れないな....というような話ではない。あんだけ食えば当たり前、いい加減年齢を考えろという事だ。美しい朝日が差し込むホテルの水場で、一人空しく強大な敵を迎えて持久戦を展開。何度も撤退ぎりぎりまで追い込まれながらも、なんとか執念で我が胃を復活させる事に成功した。今日の朝飯は軽めにしよう(って食うんかい)。
ホテルから目的地の呉江路までは歩く事にした。勿論少しでも消化を助けるためだ。まだ若干重い腹を引きずりながら、20分ほどかけてたどり着いた呉江路という場所は、いかにも俺好みな佇まいのチープな屋台が軒を連ねる、半ば観光地化した通りである(朝っぱらから俺ら以外にも日本人が少なからずいた)。見るからに魅力的な食い物が沢山ある中で、この通りに来たら何をおいてもまず食わなければならないのは、小楊生煎館の焼き小龍包だ。るるぶ等にも載っている有名店であるが、観光客相手の見かけ倒れの店ではないようだ。実際現地のスタッフも『美味いよ』と太鼓判を押していたからには、この行列を見るまでもなく期待して良さそうな店である。
一応店の中でも食えるスペースはあるが、中は息が詰まりそうなほど混雑していて、この時の腹の状態を鑑みるに、この空間では容易にリバース出来そうだったので、入り口でテイクアウトして通りの出口にある公園で食べる事にした。小綺麗で狭い場所だが、木を囲んで直径10mほどの円形に配置されたベンチには、若いカップルもホームレス風のランニングシャツの男もいて、(人間ウォッチングするには)なかなか楽しそうな場所である。
前述の通り朝は軽くということで、二人で4個(3.5元)をシェア。熱々のところを即食う。食う前にまず気をつけなければいけないのは、見た目からは揚げ饅頭のような印象を受けるが、あくまで小龍包だということ。皮がしっかりしていてしかもカリッと焼いてあるので噛み切りにくいが、勢い良くかぶりつくと、中から死ぬ程あつい肉汁がほとばしる。実際相方は噴水のように勢い良く吹き出させて大変な事になっていた。火傷必死なので注意されたい。ちなみにテイクアウトの場合は当然箸もレンゲも貰えないので、この店に来る際には『MY箸』を持っていく事を勧める。MY箸は、この店に限らず何かと役に立つ。日本と違ってけして衛生的とは言えないような店も多い(そしてそういう店に限って美味かったりする)ので、そういった店に出くわした時にも自分の箸を使うのが賢明だ。上海で食べ歩くなら、常時持ち歩く事を勧める。
その辺さえ気をつければ、上海の小吃らしいジャンクな美味さを堪能出来る。餡と肉汁は結構濃いめの味付けで、やはり少し甘めに振ってあるが、こんな腹の状況でなければ二皿はいけるだろう中毒性のある味。厚くはないが歯ごたえのしっかりとした皮のモチモチした部分と、香ばしく焼かれた部分に、濃厚かつジューシーな餡が絡んでなかなかのハーモニーを奏でる。肉汁も前述のようにかなり多いので、上品さはまるでないがそれがパンチとなってグイグイ食わせられてしまう。食べ過ぎると色んな意味でヤヴァそうだが、食っても食っても後を引きそうな危険な食い物。見た目程くどくはないので、我々のように朝飯にしてもいいと思う。昼と違ってそんなに並ばないで済むだろうし。ちなみに店の中で食べれば、卓上の酢などを使えるのでさらに好みの味に調整出来る。ゆっくりしっかり食べたいなら店内で食うのもいいだろう。俺にはしつこくは感じなかったが(オープンしてすぐの時間だったからか?)、結構しっかりと焼いてあるので油が強いと感じる人もいるだろう。そんな時は酢が活躍する。
この後も胃のために人民広場まで歩いて、そこからタクシーを使って再び豫園へ。前日に見つけた可愛い茶器数店をゲットするためだ。前日と違ってYのアテンド無しで訪れたのでちゃんと店までたどり着けるか不安だったが、無事見つけて即ゲット。これで一通りの茶器が揃った。日本に帰ったら早速練習だ。
その足で一旦ホテルに戻り、朝に続いて再び一戦交えつつ一休み。昼飯の為に英気を養う。次の店は上海紅焼肉が売りのヘルシー志向の上海料理店。前日のものと食い比べるのが主な目的だ。この休憩で腹もほぼ回復したのでしっかり比較出来るだろう。