'07 茨城縦断食い倒れツアー 〜その7:三日目朝食〜
前回の日記でも少し触れたが、玉屋旅館のもう一つの名物が奥久慈軍鶏弁当だ。名物という以上、この機会に食べずには済ませられない。しかも弁当というからには、部屋より外で食う方がより楽しめるだろうということで、あらかじめ頼んで朝食は抜きにして、代わりに弁当を作っておいてもらう事にした。そういう融通が効くところもここの素晴らしさの一つだ。
どうせなら、この界隈で一番風光明媚な場所で食いたい。そこで、袋田の滝を目の前に仰ぎながら、作りたての奥久慈軍鶏弁当を食うという、この時、この場所では最上の選択肢をチョイス。
出来立てアツアツの駅弁を食うというだけで、その時間の至福を約束されたものだろう。駅弁を作るおばちゃん以外の人間にとって、それ自体がレアな体験だからだ。それを車内でも駅構内でもなく、日本三大瀑布に数えられる袋田の滝の目の前で食えるという幸せ。ここまで来なければ絶対に味わえない。そして単にその体験のレアさだけでなく、まだ暖かい駅弁が、既に冷めて駅で売られているものと如何に次元の違うものかという事をまざまざと見せつけられた事も忘れがたい。例えば、カトキチの冷凍うどんは美味い。一旦冷凍保存したものを暖め直しただけであれだけの味を再現してるという事は、それが作りたての状態の時なら、如何に凄いものかという事は想像出来よう。それと同様の感動があるのだ。噛んでも噛んでも溢れ出る肉の旨味、失われない歯ごたえ。絶妙の甘み加減の卵。周りで訝しげにチラ見する観光客の存在なぞ忘れてしまうほどの喜びがそこにあった。
袋田の滝自体も勿論美しい。男らしい豪快さは無いが、優雅さと気品を漂わせている。春の朝に見るならこういう滝がいい。冬には全てが凍るという。その季節もまたオツかもしれない。
朝から喜びのあまり口半開き状態になりながら、次(昼飯w)の目的地へ向かうため西へ車を走らす。とはいえまだ朝飯を食ったばかりなので時間はたっぷりある。そこで少し遠回りをして、その通り自体が自然公園のようになっている花貫渓谷のあたりを、ダム、キャンプ場、川と吊り橋など、観光ポイントがあるたびに車を停めながら、ブラリ途中下車の旅とシャレこんだ。残念ながら今は紅葉のシーズンではないが、秋にはそれは美しい場所だという。しかしシーズンオフの今、人の少ない状態でゆったりリフレッシュ出来るというのもまた贅沢な事だ。途中の物産センターで刺身こんにゃくを買ったりしながら、車は山の中から徐々に太平洋へと抜ける。