あさくら@滝ノ水
このblogも始めて一年と半年が経ち、エントリー数も約260を数え、パスタblogとしてはだいぶ充実した内容になってきた。現在までにアップされてるエントリーは、全てこのblogを始めて以降の情報のみだが、勿論このblogを始めるずっと以前から色々作ったり食いに行ったりしてるわけで(その頃は別の場所で書いてましたが)、今後は現在進行形のエントリーと平行してちょくちょく過去に行って印象に残ってる店等も紹介して行こうと思っております。つーことで、今回紹介する店は、丁度2年前2005年のGWに行ってきた名古屋郊外のとんかつ屋。『2005美味かったbest20』にも入れているが、ここが今のところ俺の中で全国で一番美味いと思えるとんかつ屋だ。と、こんな事を書くと反対される向きもいるだろうと思われる(全国全てのとんかつを食べたわけじゃないしね)が、そう言いたくなる程俺の中ではエポックな店だったと言う事です。アッサリ系ロースかつの最高峰でしょう。
勝漫、とん太、かつ好(閉店)、かつ銀、すぎ田、丸五、ぽん太など、都内の主立ったとんかつ屋には大体行ったつもりだが、ここ以上に衝撃を受けた店は今のところ無い。『豚とは脂(の甘みとコクと香り)の事である』と思ってる俺が、これほどアッサリしたロースに魅了されるとは思ってもみなかった。料理にはあまり使いたくない言葉ではあるが、一口食べた瞬間『完璧だわ・・・』とつぶやいてしまった。名だたるブランド肉ではないであろうが、キッチリと吟味され選び抜かれた肉質は勿論、肉と衣の厚みのバランス、食感のコントラスト、驚く程アッサリしているのに凝縮された香りと旨味、どれをとっても食べてしばらくは空いた口が塞がらないほどの衝撃。この何の変哲も無い佇まいの一皿に、文章ではとても伝えられない感動が隠されている。
この断面に俺の言いたい事の全てがある。前述のように幾ら美辞麗句を並べ立てても、この写真から分かる凄さの何分の一が伝わるのか疑問だ。ただ、分かりやすい旨味というか、豚肉、揚げ物特有のパンチのようなものを期待すると肩すかしをくらう事になるかもしれない。しかし、例えそういうものを期待していたとしても、ゆっくりしっかり良く味わってみると、単にインパクトの弱いとんかつではない事がよく分かると思う。『とんかつは塩に限る(逆に言えば、塩で食えないとんかつは食いたくない)』という人なら無条件にお勧め出来る。
名古屋といえば味噌かつが有名であるが、そんなものを食ってる場合ではない(まぁ叶の味噌カツ丼は、あれはあれで美味しい食べ物だけどね。矢場とんは苦手だけど)。俺にとっては、名古屋でとんかつといえばあさくら以外にない。外様の俺から見ると、ある意味、『食における名古屋という土地の持つ魅力』とはまるで正反対の方向性を持つ店だと思う。こういう店が名古屋に突然変異的に存在する事が知れたという意味でも強く印象に残っている。また今すぐにでも食べに行きたい。