'06 九州グルメツアー4日目〜『湯布院、熊本、鹿児島パスタ会』
●朝食@彩岳館
朝7時起床。この日の目覚めは何故か最高であった。生憎と天気はどんどん悪くなる一方ではあった(俺らが帰った直後に九州が大雨で大変な事になってビックリしました)が、ノーマークであったにも関わらず最高に美味かった晩飯とPロールのおかげかな。第一あんな晩飯を出されたら朝飯だって期待せざるを得ない。その期待感+露天で朝風呂が待ってるというワクワクがそうさせたのであろう。
実際、上の写真ではまぁ温泉宿にありがちなごく普通の朝食に見えるけれど、一品一品のクォリティの高さはやはり昨日の晩飯を彷彿とさせるもので、やはり期待は裏切られなかった。特に、
このかぼちゃを使ったチーズもちの美味さといったら....。朝からこんな一見洋風な一品が出てくること自体サプライズであるが、少し濃いめの出汁に浸かっていて何故か全然違和感がない。どうもこの宿の板さんはかぼちゃが好きなようである。昨日の晩飯でもカボチャの扱いだけはなぜかひとひねり効いていて、特別な思い入れを感じた。
そして食後は談話室という実にいい雰囲気の囲炉裏端でくじゅう限定の美味しい牛乳をチェイサーにコーヒー(無料)をすする。実は出発の時間までそんなに余裕があるわけではないのだが、こういう時間がを作ることで焦らずゆったり旅を始める事が出来る。あらかじめ綿密に計画を立てておけばこそ、過密スケジュールでも落ち着いて楽しむ事が出来るのだ。
さて、小雨降る中宿を出て、向かうは熊本。滞在時間は1時間ちょっとと今回の旅の中で最も短いのだが、その間に熊本最大の市場、田崎市場で馬刺用の肉を仕入れ、ランチに天國の本店で馬肉料理を堪能しようという今まで以上に欲張りな計画である。天國は上野にも支店があるが、事前の情報で『東京店にはないチャーハンが最高』との情報を得ていたので時間的には余裕が無いが、無理してでも行こうと決めていた。朝から既に頭の中は桜色である。
駅について時間節約の為にタクシーに乗り込み、運転手に馬肉が売ってる店の前まで行ってもらう。市場は広いからね。歩いて探していたら天国へいく(ダブルミーニング)時間が無くなってしまう。すでに市場は人もまばらで多くは店じまいしていたが、なんとか開いてる店を見つけてもらって、速攻肉を購入、すぐさま通りへ出て再びタクシーを拾い、いざ天國へ!....と行ったはいいが、なんと定休日....をい、グルナビには無休って書いてあるぞ! この桜色に染まった俺の脳みそはどうしてくれるんだー!....と叫んでも後の祭り。こういう時のために保険は毎食毎にいくつか用意してあるw。仕方なくここから歩いて数分の所にある熊本ラーメンの老舗、黒亭に向かった。
●黒亭@熊本
昼時のため、それほど広くない店内はほぼ満席。客層も部活帰りの学生やら家族連れやら老夫婦やら若い女の子二人組やら、実にバラエティに富んでる。流石に老舗の人気店である。東京でもその名を知られるほどの有名店なので、俺の中ではプライオリティは低めの店なのだがw、やはり基礎教養(なんの?)として食べておかねばなるまい。東京で熊本ラーメンというとやはりなんつっ亭の名前が上がるだろうか。あそこも今や超人気店になってしまったおかげでかなり敷居が高くなってしまったが、その人気に恥じない美味さである(あれだけ並んで食べようとは思わんが)。桂花となんつっ亭によって作られている熊本ラーメンのイメージは、果たして本物とどれだけズレているのだろうか。そこが今回俺に取って最も興味のある点であった。
頼んだのは卵入りのラーメン。卵といっても卵黄が二個乗ってるという珍しいスタイルだ。まずスープをすすると、滑らかで以外とあっさりしているけどコクのあるスープである。が、ニンニクの効かせたがよくも悪くも上品とはいいがたい。それがパンチにもなってるのだけど、なんつっ亭のマー油や、先日食べた久留米の丸福の方がその辺は俺好みのまとまりを見せていた。やはり後から出てきたものが進化しているのは当然。この明快なスタイルが黒亭なのだろう。麺は俺のは少し柔らかく感じたけどとても美味しいし、チャーシューも秀逸。馬刺が食えなかったのは不満だが、まぁ有名な黒亭の味を知れたのだからよしとしよう。
店を出るともの凄い雨....びしょぬれになりながらなんとか駅までたどり着き、次の目的地、新八代駅へ。本当はここには何の用もないのだが、ある駅弁を買う為だけに途中下車したのだw。熊本から鹿児島まで直行しても良かったのだけど、停車時間3分の間に買える保証が無かったから一本送らせたのだ(鹿児島到着時間は10分と変わらなかったので)。そこまでして買いたい駅弁の名は、九州駅弁ランキング2年連続一位にかがやいた、より藤の『鮎屋三代』という。駅のキオスクに行ってみると、既にラスイチであった...危ない。あやうく熊本に続いて目標をロストするところであった。昼が結局ラーメンだけに終わったので(それが普通です)、鮎屋三代の他に同じより藤の鮗寿司も購入。やっと乗れた白いツバメの車内で食う事にする。
●鮎屋三代@新八代駅
しかし駅弁つーのはどうしてこうワクワクするんだろうねぇ。これらの具材やご飯が普通の皿に盛ってあっても何も嬉しくないが、こうして四角い折りの中に奇麗にレイアウトされて、紙に包まれ紐で縛ってあるだけでまるで別の価値を持ってしまう。まず食べる前までの作法というか、紐を解いて紙を取り、蓋を開けるまでの作業がいいんだろうな。そして電車のシートという半密閉のシチュエーションもいい。その非日常感も手伝って、駅弁というものに独自の価値を与えている。
肝心の味の方である。結論から言うと、これはもはや駅弁というくくりでは語れない代物である。『駅弁だから仕方ない』という言い訳がましい部分がまるでない。むしろこういうスタイルだからこそ美味いのだと言わんばかりの高いクォリティ。鮎の上品な味付けとしっとり柔らかい歯ごたえ、焼き鮎から取った出汁で炊き込んだ味わい深いご飯。卵や青菜に至までどれをとっても食事として突出してる。それでいてどういう順番で食べても違和感が無いまとまり具合。
一方鮗寿司のほうも、鮗は肉厚で噛めば噛む程味わい深くとても美味しいし、酢の加減も胡麻の効かせ方も俺好み。結構なヴォリュームであったがペロッと平らげた。う〜ん、熊本での失敗はこれで全部帳消しにされておつりが来た感じだ。こういう時にあらためて日本の広さを思い知る。まだまだ美味いものは沢山あるのだな。どんどん外に出て食い続けないといけない。俺のしらないところに美味いものがあるというだけで悔しいのだw。
そうこうしてるうちにあっという間に鹿児島到着。さすがTSUBAME。早い。が、効率重視で最短距離を選んで線路を敷いたのだろうか、殆どがトンネルの中車窓からはで何も見えず、旅を目的とした場合には面白くも何ともない電車である(仕事なら別だが)。ここ鹿児島が今回の旅の最終地点である。
●パスタ会@F邸
鹿児島中央駅では友人Fさんの奥様、H嬢が愛娘のさくらちゃん(1歳)とお出迎え。2年ぶりの再会である。その時はまだお腹の中だったさくらちゃん、俺を見るなりやはり号泣……。そうなのだ。俺は一歳児には100%泣かれる。これが3、4歳になってくるととたんに(ぬいぐるみ感覚で)人気絶頂になるのだが、この年齢では仕方が無い。ごめんよさくらちゃん。相方になだめすかしてもらいながら、まずは今晩の食材を仕入れる。駅近くの割と大きな魚屋さんで大きなアラカブと赤海老、アサリに水イカを買い、ホテルにチェックインだけしていよいよF邸へ。
新築したての新居はそれはもうハイソな豪邸。夫婦それぞれの趣味が存分に反映された魅力的な空間であった。今回はキッチンに籠りきりだったので奥様の趣味の方を堪能させて貰ったが、今までいくつかの家に出張してパスタを作ってきた中でも群を抜いて使いやすいキッチン。考えられた機材配置と動線、程よいスペース。道具もウチと同じものもあって使いやすい。そして何より、対面スタイルはやはりゲストと自然に話せるのでとても楽しい。食べた反応も作りながら見られるしね。そんな環境の中でとても気持ちよくパスタを作る事が出来た。その模様はH嬢のレポートに詳しいのでそちらを参照の事。どうやら楽しんでもらえたようで良かった。心残りは家主のFさんやゲストの方々と(例によって)あまり話せなかった事。Fさんの魅力的すぎる音部屋で男3人が楽しそうに音楽話をしているのを横目に、魚の鱗と格闘していた俺の表情は、端から見たらさぞ羨ましげだった事だろうw。
終了は1時過ぎくらいだったか。居心地よすぎてつい長居してしまった。この会は人数も少なく、作ったのも4品といつもより少なかったのでゆったりと出来て楽しかった。H嬢との料理トークも楽しかったし、珍しく自分のパスタも結構食う事が出来たw。またもやいい気分で宿に戻りそうそうに就寝、いよいよ最終日となった翌日に向けて体力(つーか胃力)回復につとめたのであった。
Comments
どうも本当に大変お世話になりました。
そうだよね、音楽話もしたかったですよね。
今回は私がpasta-manさん独り占めしちゃいましたね。テヘヘ。
写真がなんかオシャレになってる。
あらかぶの写真サイコー。
色々勉強になるなー。
Commenter: blanc | 2006年07月26日 10:11