同じ素材を違うソースで食ってみる
今(1月終わり)が旬の菜の花と、ここでもちょっと触れたピチットシートで作った自家製のパンチェッタを使って、基本の二つのソースで食べてみた。菜の花は、そのほろ苦い風味が最大の特徴であるが、素材の味をストレートに楽しむオイルソースと、数時間かけて煮込んだコクのあるボディのしっかりしたトマトソースで食う場合、その持ち味はどのように味わえるのか実験...というと大げさだがw、ちょっと試したみた。
まずオイルソースの方から。まぁ予想通りストレートに菜の花のほろ苦さが生きる。そうしたかったので、通常より若干茹で汁を多めにして、乳化具合をサラッと仕上げてみた。イタリアンパセリも入れてみたが、あくまでパンチェッタのクセを相殺する程度。主張はさせない。
対してトマトソース。今回は実験なので、上のオイルソースと対比させるために、いつもよりもさらに煮詰めてコクを出し、漉すためのムーランの刃も細かいピッチのものにして滑らかさを強調。さらにマスカルポーネを加えてまろやかにする事で、菜の花の持つ特徴となるべく正反対になるようにした。甘み、旨味ともに濃く、おまけにパンチェッタの旨味も加わった存在感のあるトマトソースだと、オイルソースと違う正反対の味の対比によって菜の花の持ち味が強調される。重めのソースに菜の花の味がマスキングされてしまうかと思ったが、菜の花をほんの数十秒だけしか茹でなかった事で、コントラストがより際立つ格好となって、やはり菜の花の持ち味は十分発揮された。
これらの事から分かるのは、素材を生かすという事は一通りではないと言う事だ。これがシンプルなバターソースと濃厚なクリームソースによる対比でも同じ事が言えるだろう。つまり『アッサリ=素材を生かす』というような単純な話ではないということだ。こういう事はプロの世界では当然の事なのだろうけど、素人はこういう事にいちいち感動出来る。それが、勉強という感覚でなく、趣味でやる事の楽しさだ。本来、常にこういう感覚で仕事を出来るという事が大事なんだろう....とか言ってみたりw。