Essenza@丸ビル
金曜の夜。待ちに待った『深夜バスで行く岐阜グルメツアー』の幕開けだ。メインの目的は後ほど述べるが、その出発点である、深夜バスの発着所のある東京駅丸の内口で相方と待ち合わせ。なにせ二泊三日の食い倒れツアーの最初の一食である。この先の感触(食)を占うという意味で、大事と言えばツアーそのものより大事かもしれない。考えた末その口開けとして選んだのが、丸ビルに入っている、伝説のwアロマフレスカが提案するパスタ専門店"Essenza"だ。パスタとメインディッシュを組み合わせた、一皿完結のイタリア料理「ピアット・ウニコ」が楽しめる。こういうカジュアルなスタイルを原田シェフクラスの人が提供するのは喜ばしい事である。まぁ若手の練習場にもなっているんだろう事は想像がつくにせよ、もはや滅多に外でパスタを食わなくなった俺でも、Essenzaは以前から気になっていた。味は勿論、(どこまで絡んでるかは知らんが)あの原田シェフのパスタプレゼンテーションである。引っかからないわけが無い。そういう意味でも、時間もそれほどかけず(バスの時間があるからね)、肩肘張らずに一定レベル以上の味が堪能出来るし、旅のスターターとしてテンション上げるにはいいチョイスではなかろうか。
この店がいいのは、全席カウンターで、広いキッチンを囲むような構成、いわば吉野家スタイリーwになってるところだ。一見落ち着かなそうだが、目の前を横切るのはドンくさいバイトのフロア担当ではなく、キビキビと動く若い料理人達である。落ち着かないどころか見ていて非常に楽しい。流石にフライパンをふるう手元までは見えないが、『ほう、あの粉ね』とか『オイルはアレかぁ』とか『お、うちと同じバルサミコじゃん』とか、そこかしこに『サイン』が出ていて終止ニヤついてしまった。
では食ったものを紹介。こういう店は、大抵季節によってどんどんメニューを変えてくるのであまり紹介する意味はない気もするのだが一応。
これから旅なのにアッサリしたものなんぞ食っておれるか! って事で、まずは白子をそば粉(押韻)でフリットしたものを。いきなり揚げ物だ。白子の甘みとジブレット&胡椒の香味だけで食わせる。
引き続き前菜なのに肉塊。しかもこれから岐阜の地元で取れた肉でジビエを楽しもうというのにイノシシ。まぁアゲていくために血の気の多いものを食う事が個人的に必要なのであった。しっかり煮込まれていてクセも適度。出来は上々。
そしてもうピアットウニコである。野菜なんぞ食わん!
アロマフレスカ時代から定評のあったワタリガニのパスタ(手打ちのキタッラ)にオマール海老のグリルが添えられている。この組み合わせを選んだのは、ちょっと冒険心が足りなかったかなぁと今になって思う。そりゃ当然美味いわな。手打ちのキタッラも通常より少し太めで、その茹で加減とともに楽しい食感に仕上がってる。ただ、『こりゃぁ俺には作れんわ』というレベルでは無いと思えるところに、隔世の感を覚える。昔はそりゃぁ感動したもんだが、今はこうして研究対象、もしくは自分のレベルを確かめるためにパスタに金を払う。以前のように無邪気に美味しさを楽しむのもいいが、これはこれで凄く楽しいのだ。
〆のドルチェ。イチゴのキャラメリゼと練乳のジェラート。アレだ、幼少の頃を思い出す組み合わせだ。思わずスプーンで全部グチャグチャに潰したくなる衝動が....。個人的には、どうせそういうコンセプトならもうちょっと下品に練乳を効かせてもいいのではと思ったが、上品な感じでまとめてあって、らしいといえばらしい。
そんなわけで、なかなかに美味いパスタによってキッチリ胃袋も気持ちもスタートラインに立てたところで、いざバスターミナルへ。Go West!