希凛@明石
さくらぐみでの夕食を済ませてすぐさま東へ車を走らせ姫路で一泊後、午前中には本ツアーのメイン目的の一つであった国宝姫路城(やはり素晴らしかった…)を舐るように散策、その後はそのまま明石まで車をすすめ、魚の棚商店街をかなりじっくり冷やかしつつランチへ。やはり明石と言えば新鮮な魚介、特に蛸を生で食いたいということで、商店街の中にある寿司屋「希凛」に突入。明石といえば、さくらぐみが真のナポリピッツァ協会認定店になった当時にピッツァを焼いていた女性が独立して営むチーロ(本家より上という声もある)があるが、今回は他に食いたい物(a.k.a.おやつ)もあったので断念。何故希凛を選んだかというのは特に明確な理由があるわけではない。明石には多くの寿司屋が存在するが、正直前情報が何も無いので、Webで目に留まった店に適当に電話して一番最初に予約がとれた店を選んだだけである。しかし、店が若いという事もあろうが、結論を先に言うと、粗も多分にあるものの基本的には庶民的な価格と接客で良い素材を、という姿勢が感じられて大変好感が持てたのでblogに書く事にした。なんだかんだいって旅行で訪れた港町の寿司屋はこういう気楽な店の方が良い。
通されたカウンターはとにかく激狭。しかもぎゅうぎゅう詰めにされて巨漢には辛い。外観から想像するよりも内装は落ち着かない感じで、地方のセンスの限界か若さ故の限界か、食べる前の第一印象は総じて決して良くない。改善の余地は多分にあると思うが、若いのに変に威勢のいい事も無く落ち着いた板衆は唯一ほっとする要素であった。とある事情で朝飯を抜く事になってしまったので、とにかく何か口に入れたくてw注文はお任せでお願いした。
そしたらいきなりトロw。こちらの空腹を見透かしたのか、こちらではこれが定番なのか分からないが、なかなかに脂の乗ったトロがいきなり出てくる店は初めてだ。ざっくり言うと、とりあえずネタの質は文句無し。シャリは握りはまぁまぁ、量的バランスは好み、酢加減はちょっと上品過ぎで物足りない。さて、トロが始まりなら次は何が来るのか…。
おっと蛸かよw。ならばアガリで口をリセットしないと。意図がなかなか読めない展開だ。しかし流石に明石だね、蛸は文句無し。酢の上品加減もこの蛸(梅肉仕込み)なら納得。勿論後で追加してもらった。
ここで鮃か。同じく鮮度は文句無し。握りはこれまでの3貫から察するに若干のブレはあるようだけどなかなかのものだと思う。
トロが今度は炙りで登場。赤身は置かない主義なのか?w 最初のネタと目先を変える為にもう少し炙って旨味を活性化しても良さそうなもんだが。これまでの中で握りは一番良い。やはり若干ブレはあるみたいね。
平貝。これも炙って。今度はいい火加減。甘みがひきたつ。鮮度の良さを物語る小気味良い歯応えだが、もともと平貝のサクサクした食感は、貝の中ではどちらかというと好みではない方なのでw、炙りの仕事ぶりは俺にとっては有り難い。
蚫。これも最上とは言わないがなかなか。
穴子はツメの味があまり好みではなかったものの、蒸し加減はなかなか。甘みは淡白で少し物足りないかな。
雲丹の軍艦。これはちょっと臭みを感じたが甘さは良い。まぁ価格の所為もあるのだろうが、少し小ぶり。もう少し乗せてくれてもいいんじゃないかねw。
夏しか食った事無いけど(つーか関東人なのでそもそもなじみは薄いけど)、実は秋の鱧は夏以上に美味しいらしいね。その所為なのか、この明石の寿司屋で意外と言っては大変失礼だけど、パサ付きなど無く身がしっかりとしてとても美味しかった。蛸の次に満足したネタだな。この後訪れる京都では食す予定が無かったので大変有り難い気持ちで食べた。
お任せの〆は海老ね。味的には無難に〆を飾ってくれたというところか。最初の意外な展開に面食らったが後半は極めて順当で、意図は結局分からず仕舞い。
この後前述と蛸や穴子などを追加しておしまい。うむ、気軽に決めて、実際雰囲気も接客も値段(これで3000円は安いよ)も極めて気軽ながら、鮮度抜群のネタと、基本的には数年先が楽しみな仕事ぶりで満足度はなかなか高かった。ぎゅうぎゅう詰めのカウンターや内部レイアウトなどはもう少し落ち着くように変えた方が良いと思うが、その辺含めこれからに期待というところか。の棚商店街の探索(結構面白いよ)に飽きたら訪れてみても後悔はしないだろう。
なんというか、このblogを以前から読んでる人ならお気づきだろうが、本当はこのブログで寿司の事はあまり書きたくはない。東京のド下町で生まれた俺ではあるけれど、昨今の寿司と言う料理体系の佇まいが全く好きになれないからだ。これは別に寿司職人を初めとする作り手達の所為ではないとは思う(というかそう願いたい)。彼ら、というか寿司という文化そのものを取り巻くあらゆる外的要素が嫌なのだ。これについて書いても詮無い事なので省くが、寿司という食い物自体は嫌いじゃないので食べはするだろう。ただし、(かつて行ったいくつかを除けば)頂点に君臨すると言われてる店の数々に今後行く必要を全く感じていない以上、ある程度の客観性の必要なblogにおいてはそれについて書く必要も自信もない。今後も引き続き(食べには行っても)あまり書かないだろう。既に都内に好きな店は何軒かあるし、その中には比較的若い店もあるし、地方に行けばこういう気軽で好感が持てる店もあってなかなか楽しいので、その成長を眺めていられればそれで十分だ。
そんな想いもあってか、気付けばここ2、3年は都内であまり寿司(とちゃんと呼べるもの)を食っていなかった。今年は家族サービスの意味も込めて、折りをみて(かつての)お気に入りの店にカミさんを連れていければいいかなと思う。書かないけどw。