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enboca@軽井沢

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 ここのところ私的殿堂入りクラスの店が続いたので、今回はちょっと肩の力を抜いて書ける気楽な店の紹介だ。一応、世間的にはピッツァが評判のイタリアンという紹介でいいのだろうか? 俺的には、野菜の美味しい気軽に入れるイタリア風ダイニングという感じである。ピッツァとしてどうか、イタリアンとしてどうか、といった堅苦しい事を考えずに、新鮮で味の濃い野菜を中心とした安心感のある食材を、レイドバック出来るシチュエーションで気軽に楽しめる、軽井沢にあってこそ意味のある店という感想だ。

 この店の最大の魅力は、なんといってもその環境だろう。鬱蒼とした緑に囲まれた人里離れた別荘のような佇まいに、午後の穏やかな日差しがあれば、食を楽しむ環境としてこれ以上は無いと思われる。出張ついでとか仕事絡みでなく、完全なプライベートで来れば、『ああ、俺は今休息をとっているんだ』という実感が数倍になる事間違いない。外から見る限り採光も十分で、ガラス張りの突き出たテラスやソファの配されたVIPルーム風な別空間もあったりとなかなかのフリーダムっぷりで楽しい。

 店舗の中もちょっと面白い構成で、入り口を中心に左右に割り振られたいくつかの空間を中央のピッツァの焼き釜が分断するような形で、ピッツァを焼くときは焼き手が釜の前まで出て来てトッピングやら焼き作業やらをやるので、カウンターに座るとアリーナに居るような気分で演者の振る舞いを間近で見られてちょっと楽しい。

 これらの、決して効率重視ではない遊び心の感じられる(悪く言えばテキトーなw)空間作りも、この地ならではのリラックスした空気があればこそ生きるものである。軽井沢という土地柄と、そこに訪れる人々が何を求めて来ているのかを、店側がちゃんと受け止めている感じがして大変好ましく思えた。食事をする前から『ああ、来て良かったな』と思える店である。


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 席についてまず目に入るのが、何本もぶら下がった立派なプロシュートのおみ足である。既に使い終わった骨だけの足もぶら下がっているのは、出汁を取るのに使うためだろう。確かにプロシュートの豚足wからとったスープは美味いはず。さぞかし拘りがあるのだろう、というか、メニューを見ても、新鮮な野菜とプロシュート、ほぼそれだけのような印象も受けるw。


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 運転手御用達のガス入りの水は、スペインのSant Aniol。適度に固くて好きな水だ。こういう水を置いてあれば、大抵の場合その店の料理との相性を考慮して選んだると思うので、料理の方も外れる事はまず無いだろう。単に瓶のデザインが良いとかの理由でなければw(まぁそれも重要ですが)。


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 今回は散歩がてらのランチなので量は少なめ。まずは自慢の野菜とプロシュートの旨味を堪能しようということで、高原野菜と生ハムのスープ。なるほど、味つけに特に工夫は感じないが、ストレートに素材の旨味を感じられる美味しいもの。これくらい塩を効かせてもちゃんと野菜と生ハムの味が生きている。これだけの素材ならもっと遊べるとは思うが、まぁ変に弄られて台無しになるくらいならこうしてストレートに素材に頼るのも立派な方向性だ。


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 続いて美味いと評判らしいベーコンポテト。名前からするとどう考えたって安い味になりそうなもんだが、評判なのだから食べてみるしかない。が、まぁこれは居酒屋メニューの延長だなw。もっともこんなレベルのベーコンポテトのが本当に居酒屋やカラオケボックスで出て来たら拍手もんだが、ここは一応リストランテである。確かに自家製の芳しいベーコンもポテトも美味いが、チーズは…不味くはないけど妙に安い味。そしてこの3つを一緒に焼いたという以上の味はしないw。こういう味が容易に想像つくメニューをわざわざやるなら、もっと驚きがないとね。


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 さて、本日のメイン、ここの売りであるピッツァを食べてみる。まずはプロシュートのピッツァと下仁田葱のピッツァのハーフ&ハーフ。このblogでもいくつかピッツァの名店は紹介したし、行って紹介してない店も結構あるが、そういった経験から照らし合わせると、本当に中庸というか、平均点というか、可もなく不可もなくというか、特徴を挙げるなら、トッピングの野菜とプロシュートの質がなかなか良い、ということくらいかw。まぁもともとピッツァ自体シンプルな料理だけど、それだけに作り手の腕というのが如実に反映されるものでもある。勿論不味くはない。材料も決して悪いものを使ってるわけではないし、釜も立派な物だ。見た目も悪くない。が、そこはかとなく漂う『スナック感』は何だろう?w よく言えば『気取らなさ』といえなくもないが、このレベルの素材を使ってもっと凄いピッツァを焼く店を俺は幾つも知ってる。


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 二つ目のマルゲリータとキノコを食ってみても感想は同じ。生地の弾力と味、ソースの口当たりと酸味、チーズのコク、どれを取っても及第で特筆すべき物ではない。キノコの香ばしさは溜まらなかったが、ピッツァとしては平均。ただ、人気があるのは頷ける気もしてきた。ピッツァにそんなに拘りの無い人にとって、何も考えずに口に放り込めるこの気安さは逆に肩肘張らずに食えていいのかも。勿論素材は上質なのだから、それをそのままカジュアルに生地の上で焼いてくれればそれでいいというのも分からないでもない。ただそれなりにピッツァを愛して食い歩いて来た者としては、店の売りにしている以上どうしても過去に食べた素晴らしいピッツァと比較してしまう。ちょっと思考回路を組み直して臨む必要があったかも知れない。


 とはいえ、地元の高原野菜はどれも美味だし、プロシュートも足をぶら下げてアピールするだけのことはあるもので、この最高のシチュエーションと組合わされば、休日の午後の幸せなひと時を過ごす場所としては立ち寄る価値のある店である事は間違いない。結構な有名店でもあるので色々な評判があるのは仕方ないし、実際こういうストレートな味の表現をする店は敷居が低く感想を書き易いので、あまり良くない意味で(質の低い)クチコミが氾濫しがちだが、こういう店こそ、余計な外野の情報を入れずにフラリと気軽に訪れたいものだ。

 ちなみに我々は(この後エントリーする予定の)軽井沢星のやに連泊している最中のランチにここを訪れたのだが、そういう完全に非日常の、まるでリタイヤした老夫婦のような気持ちで伺ったので、ここに書いた印象よりは大分満足している。接客も、丁寧というよりは、あの環境に溶け込んだかのようなゆるい感じのあしらいで好感持てるし。あれから既に半年経っている(行ったのは昨年11月)ので今書くとどうしても客観的な感想にならざるを得ないが、軽井沢に遊びに来たら、あの環境と時間を楽しむ為に訪れて損は無い店ではあると思う。ただ、全てはあの環境込みの魅力だと感じるので、それをそのまま東京で味わうのは不可能だと思われる。上原の支店には行っていない(行く気もない)が、あそこで軽井沢の環境をまんま再現出来てるとは到底思えないし、避暑地へ休息に来たのではなく、平日の会社帰りの連中ばかり集まれば、客の雰囲気もまるで違うだろう。軽井沢の味を気に入った人ならいいのかもしれないが、初めて行く人は、まずは軽井沢でEnbocaの特徴を知ってから行く事をお勧めする。


 余談だが、この店のBGMに使っているオーディオ(というかミニコンポ)が、今から8年くらい前に俺がデザインしたもので、もうとっくに販売終了しているんですが、『ああ、大事に使ってくれてるんだな』と思ってちょっと嬉しかった。

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