いい型のムツが手に入ったので作ったパスタ2品
最近は、川崎北部市場を歩いていると、普通にそこら中の仲買のおっちゃんから声かけられるようになった。週末しか来てない上、市場なんて多くの人、しかもイカついあんちゃんばかりが歩いているのに、やはり保護色にはならずにちゃんと覚えてくれてるようで有り難い。向こうは素人の買い物客なんていちいち覚えてもメリットないだろうに。
この日は、ちょっと高めだけど確実にいいorレアなネタを揃えている某水産のおっちゃんから声をかけられ、『いい型のムツが入ってるよ〜、あんちゃん捌けるんだろ? 持っていきなよ』と勧められるがままにそいつを見てみると、大きくはないが確かにパンパンに身の張ったいいムツであった。ことのほか安かったのでその日のパスタ会に使う事にした。
◆その1:ムツの香草グリルとムール貝のフェデリーニ
まずは直球に半身を香草とオイルでマリネしたあとアスパラとともにオーブン焼きにし、これまた市場で激安だったムール貝を大量に使い、水を一切使わずに作ったスープ(白ワインと貝から出る旨味汁のみ)と合わせたパスタ。作ったのはもう随分前(上海レポのおかげでアップが随分と遅れた…)でそのときは味見しかしてないが、その味は今でもハッキリと思い出せるほど良かったなぁ。淡白でフワッとした白身とカリッと焼けた皮のコントラストと、ムツの旨味を吸ったアスパラ、濃厚なムール貝エキスが良く合っていた。
◆その2:ムツとジャガイモを詰めたトルテッリ 魚介と干し海老のスープ仕立て
続いて、残ったカマや尻尾の方の身を塩胡椒でグリルし、皮も一緒にほぐし身にして、茹でて荒く潰したジャガイモや香草と和えて餡wにしたものを包んだトルテッリ。スープは、最後に残ったムツのアラのローストから取ったものに、干し海老と干し貝柱でとったエキスを合わせたもの。これもしみじみと美味かったね。干し海老もアクセントとしてそのまま具に残してみたけど、風味だけ感じさせるにとどめておいた方が良かったかもしれない。パスタの味が繊細だったので、食感的に少し邪魔だった。まぁ美味かったからいいけど。
ムツにしてもムール貝にしても、市場を歩いていると、昔まだ魚屋で魚を、八百屋で野菜を買っていた頃にあったようなコミュニケーションの果てに、こういった具合に大した恩恵を授かる事がある。つい先日も、剥き身の岡山産生食用牡蠣2kg強を、『生で食べられるの今日中だから全部持っていきな!』と、おばちゃんが1500円で売ってくれたw。スーパーやデパチカではこういう事はまずない。まぁ、普通の家ではそんなに貰っても困るかもしれないが、行くたびに何がしかこういう事があると、デパチカなどでしか買い物が出来ない環境の人が可哀想にすら思える。市場が近くにある事をあらためて感謝させられる2品であった。