鶏とカシューナッツのリッチョリ ローズマリー風味
ごく一部の人にはウチに来て食べてもらったりしたのだが、ワタクシ先月から何故か麻婆豆腐にハマっておりまして、徳用の甜麺醤と豆板醤を買ってきてまで、パスタの合間に作っております。『中華』にハマったわけではないのが如何にも俺らしいというか、他の中国料理には目もくれず、ひたすら麻婆。何故かと言いますと、プロセスがパスタソース作りに結構似てるというか、火加減とかの違いはあるものの、ソースへの素材の旨味の溶け込まし方とか共通するものがある。つまり何かと勉強になるわけです。オリーブオイルの代わりにごま油だったり、ニンニクの他にネギと生姜のみじん切りだったり、花山椒の効かせ方とか、挽肉は徹底的に炒めて旨味を引き出すとか....ようするにボロネーゼだな。豆鼓はさしづめアンチョビやボッタルガか(ボロネーゼには使わんが)。やはり、クラシックとなっている料理というのは、場所は違えど美味いものを突き詰めていくという意味において、ある一つの真理に流れて行くかのようにプロセスが似てくるのだな。それは音楽でもアートでも創作と呼ばれるものならすべからく一緒だろうけど。
麻婆が挽肉のラグーだとすると、他の中国料理の定番メニューに使う食材だってパスタになるだろうということで、今回は鶏とカシューナッツを使ってパスタを作ってみました。鶏肉は当然イタリアンでも使うし、松の実がカシューナッツになったと思えば何も不思議な組み合わせではない。鶏もも肉とカシューナッツは荒みじんに切って、カシューナッツは軽く(生の場合はちゃんと)炒っておく。ニンニク、玉葱、セロリのみじん切りを徹底的に炒めた後に鶏と鷹の爪を入れ、これまた徹底的に炒めて白ワイン投入、アルコールを飛ばしてパスタの茹で汁とローズマリーのみじん切り(少し多めに)も入れ、10分くらい煮込む。仕上げに炒ったカシューナッツとイタリアンパセリのみじん切りを混ぜて塩胡椒(軽くね)で味を整えてソース完成。実にシンプルだけど美味い。食感もとても面白いものになる。カシューナッツは松の実に比べて脂っこいので量に注意。甘みと辛さのコントロールがこのソースの鍵。玉葱とセロリの比率とか、カシューナッツや鷹の爪の量で最適な甘みと辛さを。