アンチョビのアーリオ・オーリオ ホウボウのカルパッチョとルッコラを添えて
ホウボウは、白身の魚では最も好きな魚の一つだ。特に脂ののる冬は、白身とはとても思えない尋常ならざる旨味を含む。この魚、イタリアでもフィレンツェなどでよく食べられているらしいが、そりゃ当然だよな。美味いものw。
そんなホウボウ、この間行った沼津のイタリアンで前菜として食べて、『ああ、この時期のホウボウって美味いよなぁ』と思い出したらやたら食いたくなり、急遽一匹買ってきて拙い包丁扱いで捌いてみた。塩こしょうと香草類、オリーブオイルで数時間マリネして、ただでさえ強い旨味をより活性化させるため皮目をバーナーで焼いてみた。写真では見えにくいが、中央に小さく乗せてあるのがホウボウの浮き袋。ホウボウって魚は数少ない鳴く魚なのだが、この浮き袋をグーグー言わせて鳴くのだ。これを軽く湯通しして同じようにマリネしてあるのだが、これがクニュクニュした独特の食感で実に美味いのだ。小さいもんだけど、捨てないで使う事をお勧めする。
それらを、普通はそのまま食べるのだろうがワタクシはパスタマンw。アンチョビを少し効かせたリングイネのアーリオオーリオを作ってルッコラを断熱材代わりに敷き詰め、その上にドサッと乗せてみた。冷たいカルパッチョと暖かいパスタとのマリアージュ(ププッ)。この、冷たいカルパッチョなどの生魚と暖かいパスタの組み合わせは好きで良くやるんだが、普通店ではあまりやらないよね? なんでだろう。温度差を利用したパスタってなかなか美味しいんだけど、最近はニューウェーブ的な料理法よりもトレンドは地方の伝統料理とか、様式を重んじる方にいってるらしいので、そんな時勢には流行らないのかね。ニューウェーブだろうが伝統料理だろうが、日本人にとってのそれぞれの料理に対する距離感は一緒だと思うがね。どっちにしろ異文化圏の人間なんだから。
俺は風潮なぞに惑わされず、自分のインスピレーションを頼りに、イタリアンとは、パスタとはなんぞや?という事を、固定観念に捕われずにその伝統と歴史の全てを知りたいと思う。そんな今の俺には、日に日にイタリアに行きたい欲が湧いてくるのだが、そんな時に安易にイタリアなんかに行って上っ面さらって分かった気になっちゃうのが、俺にとって一番怖い事なんだよな。日本で出来る事をまずはやり尽くさないと。