ききょう亭@宮崎台
ご近所シリーズ(そんなシリーズを始めた覚えはない)第3弾。徒歩圏内にある焼き肉屋では出色の店である。かつてこの店は下北沢、恵比寿で20年以上に渡って人気を博した店だそうだ。その店主が自宅の近くに店を移転したらしい。そして日本で最初に石焼ビピンパをメニューに取り入れた店として有名である。その他の背景は知らないが、激戦区で20年に渡って生き抜いた店ということは、ホンモノである。勿論『何をおいても食べにこないといけない』という店とは言わないが、そのホンモノが徒歩圏内にあるということが極めて贅沢な事である。
さて、ここでも例によってとても二人とは思えないほど食ったのだが、残念ながら『上』とか『特選』とか冠詞がないメニューはいたって凡庸と言わざるを得ない。特に内蔵系はほぼ全滅であった。ただし以下に紹介するメニューは、『自分へのご褒美』として十分機能するなかなかに素晴らしいものであったのでご紹介する。
まずこのチャンジャが素晴らしかった。量は少なく塩も少しキツいが、ちゃんと魚の内蔵らしい独特のクセを楽しませてくれるチャンジャに久しぶりに出会った気がする。ちなみに写真はないがキムチも深い漬け込み具合からくる酸味が心地よくなかなかのものであったので、この二つは食べてみる事を勧める。
内蔵系で唯一良かったのがレバ刺し。この季節を考えると特筆すべきレベルだと思う。勿論愛するまるいや都内のいくつかの名店には及ばないものの、ちゃんと角が立った切り口をみるだけでその鮮度が分かろうもの。自宅から歩いてこのレバ刺しが食いに来れるのは嬉しい事である。
珍しく豚バラを頼んでみた。これは、肉質もさることながら付け合わせのネギが大変美味かった。刺激がマイルドで豚の脂の甘みと呼応するかのような甘みがとてもよい。塩ダレも実にいい味。このネギあってこそのメニューだと思う。
これは厚切り中カルビというメニュー。カルビ独特のとろけるような柔らかさはやや希薄だが、カルビなのにしっかり赤身の旨味も感じられるものであった。
上ロース。今回一番気に入ったメニューである。推測するにロースでもかなり芯に近い部位を使っていると思われる。さらにこの上に特選ロースというのもあるが、この日は残念ながら品切れ。上でこれだからさぞやすごいのだろう。ただし値段を考えるとこれを腹一杯食って終わりの方が幸せかもしれないw。
特選ロースが無かったので代わりに特上カルビも頼んでみた。好みから言うと上ロースの方が好きなのだが、これだけの刺しでもしつこくならない脂の質の上品さはなかなかのもの。今度は上の方も頼んでみないといけない。
そして最後に有名な石焼ビピンパをチョイス。さすがに第一人者だけあって、シンプルな味付けながらとても美味しい。特に卵が錦糸卵というところがいい。グチャグチャに混ぜても全体をマスキングせずに個々の素材をしっかり楽しめる。素材段階で味がいいので、コチュジャンを入れすぎると勿体ないので注意。これはよそからでも食いにくる価値はあるかも。
メニューによって食えるものは限定されるが、しっかり選べば満足度は高い。『ここさえあればあとはいらない』という事は無いが、『うわ、肉食いてぇ!』と思い立ったときにすぐ来れるという贅沢は、俺にとってはどの店にも劣らない価値である。
例えば今日の夜、たまたまNHKの通という番組で焼き肉の特集をしており、YAKINIQUESUTの面々が例の技の数々を実際に披露していたw。すごい時代になったものだ。しかし、これからはそんな番組を見てしまってもとりあえず地団駄踏まずにすむのである。ありがたい事だ。