永利@池袋
池袋....俺にとっては、頼まれでもしない限りその土を踏まない場所である(なんとなく)。そんな場所の中でも、殊更猥雑な北口の先が、最近にわかにチャイナタウン化してるという話はどこかで聞いた事があったが、まさかこれほどの『ホンモノ』が味わえる場所になってるとは正直思わなかった。
ウチのblogは、livedoor時代も含めて良くも悪くも決して一般的ではない店ばかり紹介してる所為か、どうも『是非この店に行ってみて下さい』的なタレコミ報告をするには二の足を踏む人が多いようだ。それでもたまに『貴兄なら絶対この店の良さが分かってもらえるハズ』という濃い報告をくれる有り難い人がいる。ある意味敷居が高い(?)ぶん、そういう報告はこれまでも100%ハズレが無かったのだが、今回訪れたこの店は、色んな意味で特に凄かった(アさん有り難う)。
まず、店の雰囲気からして違う。『本場の空気を感じる』というレベルではなく、店の中は紛う事なき中国だった。行った時間の所為か、店に飛び交う言葉は100%中国語。客も俺達を除いて全員中国人。幸いメニュー(軽く200以上の名前が並ぶ)には日本語表記があって助かったが、最初は通貨まで元なのではないかと不安に思ったほど。これで料理が『薄い』ハズがない。その空気感から、席に着いた瞬間に沸き上がる『勝った』という思いに興奮を押さえきれなくなる。今まで多くの中華料理屋に行ったが、本場度という意味では、俺の中では『北の永利、南の天龍菜館』でファイナルアンサーといっていいだろう。それほど満足度が高かった、ここの料理のいくつかを以下にご紹介する。
何しろ二人だけしかいないので、回り道などしている余裕は無い。いきなりこれ、ここに来る人間のほぼ100%が頼むという東北醤大骨。平たく言えば豚背骨のダシガラなのだがw、この骨に残った肉が何より美味い事は、料理をそこそこやるものなら誰だって知ってる。俺も家で大量の肉や魚介のブロードを取ると、一人キッチンで出汁を取り終わったダシガラにむしゃぶりついてたりする(恥)。ハタから見るとホラー以外の何ものでもないが、あれほどの至福は、ブロードを定期的に取るほどの料理好きでないと分からないだろう。
話がそれたが、事程左様にこのメニューは美味いのだ。見た目からは想像付かない程味付けも上品でアッサリしてるので、最初はこの物量感に圧倒されるが全然食いきれる量。蟹を食ってる時のように食いにくくてしばし無言になるのが難点だが、関節を一つ一つ外しながら食うと綺麗に食える。最後のひとかけらまで食らい尽くす事を勧める。
野菜料理の中から選んだのはこの地三鮮。茄子、ジャガイモ、ピーマンの炒め物だ。野菜のみだがメイン料理としても機能しそうなほど食べ応えのある一品。具材の火の通り具合、油の濃度、味付けの濃さ、どれをとっても絶妙としか言いようが無い。
点心からはまず羊肉水餃子。これも素晴らしい。これでもかという程羊の旨味と歯ごたえが堪能出来る餡に、それ自体主食として食えるほど肉厚の皮が合わさる至福。Pride男祭り以上に混じりっけ無し、餃子の中の餃子。次は海鮮の方も頼んでみたい。
そして点心二つ目。これが今回のMVPと言って良いだろう。海老春巻き。これはもう言葉で説明すればする程ありきたりになりそうなのでやめておこう。旨味、香ばしさ、食感、どう味わっても俺の生涯No.1の春巻きとだけ言っておく。行ったらとりあえず頼め。そして何も付けずに手で持ってチュロスのように食らいつけ!(熱いけど)
揚げ豚の甘酢あん和え。天龍の名品『黒酢の酢豚』と比べる目的で頼んだので無理に比べると、やはり天龍の酢豚の深み、滋味には一歩劣るが、そこらの酸っぱいだけの酢豚が酢豚だと思ってる人には是非食ってもらいたいものである。揚げ豚に何故甘酸っぱい味が必要なのか、なぜ野菜などなく豚だけなのに飽きずにスルスル食えるのかが思い知れる。
東北料理を食ってるのだから、主食は米ではなく当然花巻である。手作りの素朴な味が嬉しい。ちぎりながら色んな料理を乗せたり、前述の地三鮮のソースや豚の甘酢につけて食うといいだろう。
もうこの時点で流石に胃袋も限界だったのだが(当たり前)、壁に貼ってあった季節限定のこのメニューを見て頼まずにはいられなかった。冷やし坦々麺だ。写真もピンが後ろに行っちゃってるが、この時の俺の視界も満腹感でこんな感じだった。
冷やしだからとタカをくくってサラッと食えるだろうと思ってた俺が甘かった...もの凄い濃厚な味。しかしこの風味、胡麻の甘味とラー油の辛味のコンビネーションが無理矢理に俺の胃袋を押し広げる。この調子だと通常の坦々麺もさぞかし濃厚で美味い事だろう。冬になったら絶対に頼みたい。
とにもかくにも、本当に中華が好きなら迷わず行く事をお勧めする。勿論良くも悪くもあまりにも『本場』なので、日本流に薄まった中華に慣れてる人にはキツい部分もあるかもしれないが、ホンモノの東北料理が味わえる数少ない店である事は確かだ。それに、他のblog等で言われてる程接客も店の雰囲気も悪く無い。店の中は多くの会話で騒然としているが、飛び交う言葉の大半が中国語(一人くらい『オメーに食わせるタンメンはねぇ!』とか言ってんじゃねーかなw)の所為か、それが実に心地いいのだ(深夜のファミレスなどに集う日本のガキどもの会話や、新橋あたりのチェーンの居酒屋のジジイどものグチの方が余程カンに触る)。一日も早く再訪したいのだが、これを書きながら是非食わせたい人間の顔もチラホラ浮かんでる(岸本姉妹とかmatsuやんとか)事だし、次は予約して大勢で訪れたいものである。今年の俺Bestのうちの一店になる事は間違いない。
◆追記 (06年12月に再訪)
最近はhanakoに載った(女性に勧めて大丈夫なのか?)りして知名度も上がり、西口の方に支店を出したりするほど繁盛しているようでなにより。そりゃそうだよなぁ、飛行機に乗らなくても3〜4000円払えば中国に行けるのだから。ということで、今回は気の置けない友人7人で連れ立って、前回食えなかったメニュ−などを攻めに再び訪れてみた。
今回は人数が揃ってるのでアッサリからコッテリまで最初にダーッと頼んだのだが、最初に運ばれて来たのがクミンの効いたこってり目のラム....普通もう少しアッサリしたもんから運んでくるだろうw。味もかなり濃い目で辛めなので余計にどうかと思うが、それを差し引いてもやはりファーストコンタクトほどのインパクトはない。まぁ仕方が無い事だが。しかしこの日本人の好みを無視した濃いめの味付けと下品な程効いたスパイスこそこの店らしいやんちゃさだと思う。
今年中国出張でも世田谷の大吉でも食って大変美味かったクラゲの頭の冷製。ここのもやはり美味い。でも冷静に考えるとクラゲの頭ってどこだなんだよw。つーか殆ど頭じゃないのか? でも明らかにこれまで食ってたクラゲの前菜とは食感が違うんだよなぁ。誰か詳しい人教えて。
これは揚げた白身魚の四川風あんかけ。基本は東北料理のハズだが、キッチリ四川の『麻』の効いた味になってて大変美味。やっぱこの下先のピリピリこそ四川だよなぁ。それがホクホクの白身とカリカリの衣と相まって実に魅力溢れる一皿。
定番鶏肉のカシューナッツ炒め。これも期待を裏切らない出来。こういう上品な味付けもあり、頭のラムのような塩っぱい味付けもあり、これは作る人間によって違うのか、ちゃんとレシピに乗っ取った違いなのか、気になるところ。
続いてモツの炒め物。これも味濃いめだが、あんかけの優しさと火を通しすぎてないピーマンのアクセントがあるので不思議と嫌じゃない。恐らくモツにも味がちゃんと入って一体感が出ているからだろう。
スープも頼んでみようということで酸辣湯。酸/辣のバランスも良く美味しいし何も文句ないが、舌に馴染みがありすぎて過ぎてインパクトにはかける。これは頼んだこっちが悪い。
板豆腐。恥ずかしながら初めて食べる。まるで全卵で打ったパスタのような食感で面白い。大抵はタリアテッレのように平麺状に切ってある事が多いようだが、ここのは菱形のショートパスタ。優しい味のソースと大変合ってる。
マメ、つまり豚の腎臓の炒め物。異様に醤油が効いてて塩っぱいのでタレごとは食えないが、マメだけちびちび食うとイケる。紹興酒のつまみ感覚で頼むとよろしいのではないだろうか。
本日のハイライト、ゲンコツ大の豚肉の固まりの酢豚。黒酢を徹底的に煮詰めて酸味を完全に飛ばしてあり、シンプルながら奥深い味でとても美味。見た目程重くはないけど、この物量感はやはり凄い。少数で頼むと大変な事になるでしょう。
山東菜とマッシュルーム炒め。これは美味い。白菜と菜の花と小松菜の間の子のような味わいと食感の山東菜に、見た目よりだいぶ優しくとげの無いあんかけ風のソースが良く合う。マッシュルームも実にいいアクセント。
いよいよ〆へ突入。まずはあっさりレタスチャーハン。これも当然のごとく期待を裏切らない味。まぁ少し旨味に不自然なところはあるし、ご飯がパラパラとまではいかないけど、それも含めて庶民的で好きな味だ。ちなみに写真が食いかけのようだが、まだ誰も手をつけてないw。
そして担々麺。前回食った冷やしから想像はついたけど、やはり美味い。辛みも濃度も旨味の度合いも実に俺好み。ちゃんと黒ごまで香ばしく統一してるところが有り難い。
そしてデザート。小豆タピオカ杏仁豆腐という欲張りな一品。デザートまでちゃんと外さないところが偉い。
デザートその2のゴマ団子。食感、香り、味わいに、内外のコントラストがちゃんとあって、ちゃんとしてるとしか言いようが無いw。
最後はマンゴープリン。とても濃厚。甘くて冷たくてフルーティなのにデザートな感じがしないw。でも美味い。
ということで、200種類制覇までの道のりは遠い、というか制覇する気は毛頭ないのだけどw、得手不得手というか、俺好みのものとそれほどではないものの特徴がだいぶ分かってきた。これだけメニューがあれば少しはハズレもあるのは当然だが、そのはずれ率はかなり低い。やはり繁盛してしかるべき店である。
Comments
さて、いつ行きますか??
Commenter: matsu | 2006年06月14日 10:29
maatsuやん:
いつでもいいよ。
来週でmatsuやんが仕事早く上がれる日とか。
水曜は?
Commenter: pasta-man | 2006年06月16日 17:25
呼びました?(苦笑)
えーーん、水曜だめだめ。
来週だめなの・・・・
再来週は?
Commenter: Eri-tin | 2006年06月17日 18:06
オレ的には来週水曜OKです。
あー、逆に再来週は厳しいかも・・・
Commenter: matsu | 2006年06月17日 19:19
お二人:
はは、では来月にしとくか。店は逃げないし。個別に連絡するね。
Commenter: pasta-man | 2006年06月20日 14:05