ボンジョリーナ@池ノ上
久しぶりに外でイタリアンディナーとシャレこんでみた。場所は池ノ上。下北からも歩ける。ここで土日に友人Eri-tinがヘルプに入っていて、以前から彼女の日記にその名前が登場するので気になっていたのだが、ついに訪れる事が出来た。彼女は以前この店に飛び込みで入ってみて気に入ったというが、俺には最近そういう勇気が無いので、もっとそういう新鮮な気持ちというのを持たないといかんよなぁ。話はそれるが、昔はレコード買う時は絶対試聴しないと決めていた。自分の選ぶ勘とセンスに自身があったし、家に帰ってから封を切るドキドキ感を大切にしていたからだ。それが最近は必ずと言っていい程試聴するし、それ以前にネットなどで散々調べて確実に良いと分かってる物をさらに試聴して買う事が多い。食い物屋に関しても同じだ。事前に調べずに行くという事はまず無い。何故なら、求めている価値が常にハッキリしているし、『この店は求めている以上のものを提供してくれそうだ』という事まで調べていくから。これは果たして成熟なのか、マンネリなのか・・・・たまにはフラッとギャンブルしてみる事もしないとな。
話を戻す。この店も勿論、Eri-tinが教えてくれなければ恐らく行く事は出来なかったろう場所である。が、ここ最近の俺にとってはかなりギャンブルに近い気分で行く事が出来たのは、新鮮な気持ちになれてとても良かった。食に関しては絶大の信頼をおける彼女が推す店という前提はあっても、それ以外は全く調べずに突然思い立って行ったから。そして、それが期待以上だったかどうかは、以下に記す。
シェフの宮川さんの動きがよく見えるカウンターに座らせてもらい、注文。フィックスのコースはやめて全てアラカルトで選ぶ事にした。何故なら腹が減っていたからw。まずはアンティパスト...の前に一皿。厨房の中からシェフ自ら『お通しです』と言いながら皿を渡してくれたのが嬉しかったw、鮎のコンフィ。この一皿と一言で、『ああ、この店好きかも』と思った。味付けは、この後の皿全部に言えるが明快かつハッキリとした味付けで、どれも濃厚さを感じるもの。好みである。一皿食べ終えた後にしつこく感じないのは、添えられる野菜が良いからだと思われる。
続いて前菜...の前にw、サービスで出してくれた太刀魚のカツレツ。初めてなのにこんな事してもらって、有り難いなぁ。しかも美味い。ジェノベーゼのソースが添えられているが、そのままでもイケる。結構しっかり主張する衣だったので、今度は(メインで食べた)豚のカツレツを食ってみたい衝動に駆られた。
これが正規に注文した前菜w。サラダ仕立ての白レバーのムースだ。これでグッと心奪われてしまった。単品で食べると味は濃いめだが、濃厚で、後からくるスモークしたかのような香ばしい風味(スモークはしてないとの事)がたまらない。これを、盛られた数々の野菜やパンにつけて食べだすとナイフを置けなくなる。食い終わってもしばらくナイフを嘗める俺。さぞかし怪しかった事だろう。
そしてお待ちかねのセコンドピアット。最も楽しみにしていた一皿。手打ちのオレッキエッテを、サルシッチャ(腸詰め)と茄子と合わせてある。サルシッチャも自家製のようだ。味付けはスパイシー(辛くは無いよ)で、挽肉の旨味を良く引き立ててる。肉厚で噛み応えのあるパスタとも相性はバッチリだ。この段階でさらに食欲増進。嬉しいが困るw。
相方の頼んだパスタも紹介しとこう。これは黒米を粉にして(?)練り込んだパッパルデッレとスカンピのクリームソース。これもスカンピならではの濃厚な味(塩っぱくは無いよ)に負けない存在感のあるパスタが実に美味しい。米の粉が練り込んである所為か、フォーのようなプルンとした食感とパスタのモチッとした食感の間の子といった感じでとても面白い。こうして新しいアイディアに触れるにつけ『やっぱり楽しいよなぁ、パスタって』と思う。
いよいよメインの登場。天草豚という銘柄豚をローストにしてもらった。メニューには同豚を花豆と煮込んだものが載っていたのだが、初めての店ということでシンプルな調理でお願いした。が、これもまた美味いんだわ。天草豚というのは初めて食べたが、なかなかにいい豚です。豚=脂だと以前から主張してる俺にとっては、まさにこの蓋のような脂の甘味こそが豚of豚wなわけだけど、それをちゃんと脂をカットしすぎず残しといてくれて、余計な味付けはしすぎずジャストな火の通し具合で出してくれた。おまけにサイズは200g超w。身もしっかりしていたので煮込みも多分美味しいだろう。また行って注文しないとな。
メインも相方の注文したものを紹介しとこう。ホウボウのグリル。ソースはマルサラ酒のソース。身の詰まったホウボウが香ばしくソテーされていてこれもまた美味い。
最後のデザートはイチゴのシャーベット。混じりっけのないイチゴオンリーの味で、サッパリしつつも濃厚なので口直しという感じではなく結構な存在感w。
いやぁ食った。これ見よがしに技やアイディアをひけらかす事無く、親しみやすいが素材にはこだわる。接客もフレンドリーだし、実に地に足付いたスタンスで滋味深いイタリア料理を食わせてくれる。大抵のイタリアンでは滅多に感動しなくなった俺にとっては、驚きや興奮よりもFunを与えてくれるこんな店、外で食べる食事に俺が求めるものはこういうのなんだよな、本当は。これを読んでる彼氏のいない女性は、青山や六本木の『丘』に自慢げに連れて行く男より、こういう店にさり気なく連れてってくれる男を選びなさいw。
宮川シェフには、『フライパン綺麗に磨いてありますね。何で磨いてるんですか?』とか訳の分からない質問を色々して怪しまれたかもしれないがw、これに懲りずにまた伺わせて下さい。