紫キャベツと松の実のリングイネ すだち風味のクリーム仕立て
そろそろ春野菜も終わり、徐々に夏野菜が店頭に並び始めた。野菜に限らず果物も、例えばイチゴがオレンジに入れ替わってきたりする。スーパーでは技術の進化によってもはやそういう季節感を感じる事は少なくなったが、旬というものは厳然と存在してるわけで、そういう部分はなるべく感じながら過ごしたいものですな。今後は徐々に、春から夏にかけて移り行く季節を意識したパスタを作っていきたいと思っとります。
そういうわけで、今回は紫キャベツ。ってどういうわけだか分かりませんがw、まだまだ春を楽しみたいということかな。今回はこの味、色ともに面白い野菜を存分に楽しみたいという事で、肉or魚の具材は一切無し。最大限にキャベツの味と色を引き出す事に専念しました。細かくみじん切りにしたニンニクとバター、自家製のアンチョビを弱火で炒めて、同じくみじん切りにした玉葱もじっくりとペースト状に炒め、白ワインで香りづけ&アルコールを飛ばしたら紫キャベツ(これもみじん切りね)の出番。ひとしきり炒めてから魚のブロードと水を入れ、水分が無くなるまでじっくり炒め煮にする。最後に生クリーム少々(あくまで野菜の持ち味を消さない程度に)とパルミジャーノ、軽く炒った松の実を入れて、ひと煮立ちさせてから塩胡椒で味付け。火を止めてからすだちの絞り汁を入れ、爽やかな風味に加えて、ソースを鮮やかな紫色に変色させて出来上がり。これは皿に小高く盛りつけて上からかけると、グラデーションになってより綺麗です。パーティなんかの時は、食べる直前にかけてもらうと盛り上がるかもなw。
上に飾ってるイタリアンパセリは、うちのベランダ菜園で採れたもの。初めて食卓に上がった。これはやってみると分かるけどかなり嬉しいもんだね。他にも色々育ててるので、早く食卓に上げたいものです。
ちなみに今回使ったパスタは、バリラの『Selezione Oro Chef』という、ここ最近有名シェフ御用達のパスタ。何しろ通常のパスタに比べて恐ろしくアルデンテが持続する。試しにインストラクションの30秒前に湯から上げて(油まぶして)しばらく放置してみたけど、ほぼ変わらない食感だった。これは一度に色々な皿を作らないと行けない場合や、ソースの仕上がり時間を読み間違えた時などには特に助かるね。
噛み応えは独特で、弾力は凄いけど、グーッと歯で圧力をかけていくといきなりブツンと弾ける感じ。ちょっと今までに無い食感で面白い。強いて言えば五島うどんに近いかなw。表面はバリラらしくソースをあまり絡めないwけど、誰が茹でても安定して一定レベルの味が出せるだろうから、多くの客を相手にするプロの現場で重宝されるのは分かる気がする。バリラはもともとツルッとした喉越しとプルンとした歯ごたえが魅力だと思うので、これもその魅力をさらに強調したような感じで、小麦の味もちゃんと主張するし、さっぱりした冷製とか、逆に脂っこいシンプルなソースでも必要以上にソースを持ち上げないのでいいと思われます。俺の好きなVietriに代表されるブロンズダイスのモチモチパスタとは全然違う方向性だけど、これはこれで使い勝手が良いですな。
(追記060513)
後日、もっと純粋に紫キャベツの旨味、甘味だけを楽しむバージョンを作りました。玉葱も使わず、ニンニクと自家製のアンチョビをじっくり炒めて白ワイン少々、アルコールを飛ばしてすぐ紫キャベツ投入し、しんなりしたところで鯛の頭のブロード少々(キャベツ1/4個に対して80ccくらいかな)と水をひたひたにかぶるまで入れて煮詰めました。生クリームもチーズも使わない。すだちの汁は事前に混ぜず、盛りつけ後に上からふりかける事で写真のような綺麗なグラデーションが出来ます。これだけでも充分濃厚な味になり、より力強い味わいになりました。また、松の実は少し脂っこいのでカボチャの種に変えて、よりさっぱりした食感に。この方がキャベツの味が引き立つね。まぁよくよく考えてみれば、キャベツとアンチョビのパスタはそれだけで美味いんだから、余計な事をしない方がいいに決まってるわな。
ここに合わせたパスタはVietriのブガティーニ。こういうソースはやはりプリッとしたロングパスタが合うね。