茄子とエリンギのバター醤油風味リガトーニ
これを作ったのはもう結構前になるが、この時のコンセプトは『醤油を使っていかに和風になりすぎないように作れるか』だった。俺は別に和風のパスタが嫌いじゃないし、何より生粋の日本人であって『ブーリアのパスタに北部のソースを使うな』とかそんな事を考えながら作ったりもしない。ただ、今までの人生の中で作り上げられた『合う/合わない』という己の価値観に基づいて判断しているだけだ。その基準で言うと、俺にとって明太子や納豆は『難しい(=もっと上達すればいずれ満足出来るものが作れるかもしれない)』といえる素材だし、醤油や味噌も同じ理由で難しいと言える(そういう意味で、世界で最初にバターと醤油を合わせた人は偉いと思う。意外とカルビーだったりしてなw)。
で、この時の結果上手くいったのかどうかというと.....50/50かな。大変美味かったのだけど、パスタ料理としてブレがなく完成していたかというと微妙だった気がする。どういう意味かというと、イタリアでも日本でもない、例えばアメリカ西海岸の料理人が使うように醤油を使えたかということ....って、余計意味分からんがなw。つまり日本の調味料を客観的に、他の様々な国の食材や調味料を使うのと同じようなスタンスで、あくまで純粋に味的に『合う/合わない』という基準だけで使えたか、ということ。『食』っていうのは勿論思い入れやルーツ、偏愛wも凄く大事な事で、俺も大切にしてるんだけど、作る(造る)という事を考えた場合、食材や調味料に対してそういう客観的な視点を持つ、つまりその素材なり調味料なりの背景や歴史などから来る先入観を、一旦白紙にしてしまう事で、初めて国境や人種を超えた様々な組み合わせが出来る、そこからオリジナルが生まれるというのが俺の持論なのだ。国内外を問わず初めて訪れた土地で、食べた事の無いものに出会ったらまず口に入れてみるw、というある種の節操のなさが大事なのではないかなと。それには、様々な種類の味をちゃんと分類整理出来るように、自分の中にブレのない強力な味の価値基準が必要なのだけどね。そんなのが俺に出来るようになるのかは分からんけど、そうなるべく努力....というか楽しんでる。
と、今回は写真とは何も関係ない話になってしまったw。ちょっとコメントすると、色が茶色っぽいのは、醤油の色というよりアンチョビを溶かし込んだ色です。それほど和風には振ってない。これを作った事で、『和になり過ぎない(俺なりの)醤油使用量のボーダーw』が見えた気がする。