氷見産アオリイカ墨煮のミッレリーゲ
そのうち書こうと思っているが、去年の暮れに富山県の高岡、氷見、魚津、滑川などを一泊で廻る強行ツアーを敢行した。行き帰りを深夜バスで、丸二日をフルに使い、綿密に計画を立てて行っただけあって、食以外にも色々と有意義な旅だったのであるが、そのツアーで開眼した事が一つある。それは『セルフ産直』の楽しさだ。その日に獲れた魚介を活きたまま発泡に詰め、その日の深夜バスで翌朝帰京。発泡を抱えたままキッチンへ直行wというスタイル。勿論ツアーであるので食以外にも色々と楽しむのだが、旅の終わりが自宅のキッチンというのは、ある意味で凄く贅沢な事である。少なくとも形の上では、その(俺の場合パスタ)一皿の為に、わざわざ遠くまで行って食材を仕入れてくるのだから。
この時買ってきた多くの魚の中でも、このアオリは本当に美味しかった。勿論旬だから、考えられる限り最高の鮮度だから、というのもあるが、何より『自ら(パスタにするために)運んできた』という達成感がそれに拍車をかけたのは間違いない。ここまでしたのだから、気合いもまたいつも以上。失敗は許されないし、なにより、自らの努力で保ったこの鮮度を生かしたい。いや、むしろこの鮮度だからこそ出来る料理に仕上げたい....。
帰ってきて最初の一皿は、このアオリを使った墨煮パスタと決めていた。ただ、通常墨煮というのはしっかりと煮込む料理。俺がやりたい方向性とは違う。そこで、しっかり煮込まない、フレッシュな煮込み(矛盾するが)をやってみようと思った。まず、通常はイカの身をワインとトマトソースで煮込む事で旨味を出す行程を、ここでは煮込み時間を大幅に削るために墨袋とワタ(アオリのワタは特に好きなのだ)、耳とゲソを野菜ブイヨンで割って、全部ミキサーにかけて黒いペーストにした。これならサッと煮るだけで旨味たっぷりのソースになるだろう。トマトソースは、缶詰でなくフレッシュトマトのみを種と皮を取って細かくみじん切りしたものをベースに。そして具の胴部分は、細切りにしてパスタの余熱だけで火を通す感じで、9割がた生の状態に仕上げた。結果、旨味たっぷりなのに臭みもなく、後口超さっぱりの、不思議な美味しさのフレッシュな煮込みが出来た。鮮度の高い旬のアオリイカだからこそ出来る一品だ。
Comments
パスタをイカと見間違え「単なるイカ料理じゃん!!」と突っ込もうとした事をお許し願いたく。
煮込まないイカ墨ってどんな感じなんだろ?かなり気になりますな。
Commenter: matsu | 2006年02月06日 20:46
押忍。
それ前にも誰かに言われた気がするw。
長時間煮込まなくても煮込んだような旨味の濃さになるようにしましたよー。
それでいて身はしゃぶしゃぶのように半生の状態。オモロいよん。
Commenter: pasta-man | 2006年02月08日 16:03