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タコとアボカドのジェノバ風冷製スパゲッティー二 ドライトマト風味

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 俺が現在のように本格的にパスタにハマったきっかけは、前に書いたようにVietriのパスタを買ってからなんだが、作り始めてからしばらくは評価基準は自分の中にしかなかったし、勿論自分のパスタにある程度自信はあったけども、完全に自己完結していて自分の中だけで楽しんでいたに過ぎなかった。だから『世間で(プロアマ問わず)パスタを得意料理としている奴って沢山入るけど、果たして俺のパスタってレベル的にはどうなんだろ?』なんて思いもしなかった。
 そんな中、自己完結しながらも俺のパスタ熱はどんどん高まり、どん欲にオリジナルメニューも作り成熟を深めていったが、それでもどうも世間との格差というか、客観視出来る基準と言えばせいぜいたまに店で食って、『俺が作った方が数倍美味いよなぁ』なんて思う程度で、いまいち判然としない時期は随分と続いた。元々資質はヲタなのでその辺の感度は鈍いのだが、次第にその事が気になり出した時に、『ああ、やっぱ俺って結構やるかもw』って思ったきっかけが、この冷製パスタである。このたった一皿が、Vietriのパスタに出会った時と同じくらい俺の『ぱすた道』で転換点になっている。俺の冷製パスタ好き(パスタ会の一皿目は必ず冷製だ)はここから来ている。

 これは実は、ある一人のためだけに作ったもので、これまでも今後も、金輪際他の人間に作る事は無いメニューである。だから紹介しても仕方ないのだがw、これを作った事で、その後色んなバリエーションで展開しているのが、冷製パスタのカテゴリーの写真何枚かを見てもらえば分かると思う。俺の冷製パスタ、いやパスタ料理のほとんどは、このパスタを作ったときの発想、プロセス、組み立て、工夫、そしてマインドがベースとなって派生しているという意味で、どうしても紹介する必要があるのだ。

 作るにあたってまず最初にこだわったのは色だ。その人は緑(どちらかと言うと黄緑に近い緑)と赤(というよりマゼンダに近いピンク系の色)の組み合わせが何より好きであったので、具材とパスタをソースで色づけし、なおかつ盛りつけの時はセパレートして混ざらないように組み合わさなければいけないと考えた。そこでベースのソースを具材(バジル=ジェノベーゼ)と麺(トマト風味)とまるっきり異なるソースにし、なおかつ緑の方はアボカドのグラデーションを基本に、赤の方は、フレッシュトマトだけではキツすぎるので、戻したドライトマトを汁ごと刻んでペースト状にする事で色を作った。具の方には、味の組み合わせ的にアボカドと相性もよく、食感的に幅が出るタコで、パスタの赤とのつなぎ役を果たす色を加え、パスタの赤には、この皿の中で足りない食感である『シャキシャキした歯ごたえ』を加える為に刻んだエシャロットを入れて、同時に赤味を和らげる役とした。

 色や具材等、基本的な骨格が出来たらあとは味の調整だ。特にドライトマトのソースとジェノベーゼのソースをそれぞれ単品で美味いように作って組み合わせても、恐らく合わさった時に主張し合って美味いはずが無い。特に、既にサッパリに仕上げているトマト風味の麺にとって、ジェノベーゼはかなり濃厚なソースである。そこでジェノベーゼの方に細工をした。まずその濃厚さの源である松の実を排して、バジルとニンニクとオイル、アンチョビペーストだけにし、さらにミキサーにかけずに全部みじん切りにし、トマトの方と濃さのフェーズを合わせる事で、混ぜた時初めて完成するようなソースとした。塩分はアンチョビとタコの味だけだ。そこにチェリードライトマトのコクと酸味、エシャロットのシャキシャキ感が合わさる。トマト側の塩分とまろやかさとコクは、ボッタルガとミモレットで補強した。こうして、世の中でただ一つ、その人専用のメニューが出来た。

 きっかけは、何気なく一人のために作り始めたメニューであったが、結果としてそれが、それまで完全に自分のためだけに作っていたものが、初めて外に開いた瞬間となった。この時以来、だんだんと自分のパスタの味を客観的に見れるようになり、自分なりのパスタ作りの方向性がなんとなく見えたと思う(まだまだだけど)。そんなきっかけを作った『その人』にはいくら感謝しても足りない。

Permalink | 冷製 , 自作パスタ | ▲top