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パスタは飽きるのか?

 All Aboutでこんな特集をやっていた。曰く、

『殺し文句はアルデンテ』(笑)

『イタリアで、深夜までのパーティなどで饗されるパスタ・メザノッテ(真夜中のパスタ)は、彼女を招いた夜、ふと食事したくなった時に最適のメニューだ。
軽い空腹を覚えた深夜に、男が手早く、しかし味わい深いパスタを作ってサーブする。そのさりげない所作は、どんな多くの口説きの言葉よりも彼女の心を強く揺さぶるだろう。』

....どーなん、これ? (苦笑)

 この特集について、Mixiにて色々と意見を聞いてみたが、まぁせいぜい笑いのネタくらいにしかならんかった。そりゃそうだろう。大体、深夜女性に炭水化物をたんまり食わせるって、何も分かっちゃいねーと思われても致し方ない。
 それでも『イタリアンレシピ』の担当の方は流石に女性だけあって頷ける部分もあるものの、一方『男の料理』の担当の方は何も分かっとらんと言わざるを得ない。チーズ5種類のペンネだとか、グアンチャーレ(パンチェッタより脂分たっぷり)を使ったカルボナーラだとか、ウィスキーを使った鮭のクリームソースだとか、どれも定番っちゃー定番なんだが、カロリーが高くて重たいレシピばっかり。単にお前が食いたいだけとちゃうんかとw。昼間ならいざしらず、美容に五月蝿い女性が『パスタなんてとても夜中に食える代物ではない』と思ってしまっても無理は無い(これだけ読めば)。
 さらに、あらかじめ用意しとくにしてはマニアック過ぎる素材のオンパレード。前述のグアンチャーレしかり、フォンティーナしかり、ペコリーノ・トスカーノ・スタジオナートしかり....俺みたいなマニアでさえ常時冷蔵庫にあるものではない。『ふと食事がしたくなったときに』『さりげなく』そんなのが冷蔵庫にあったら、さりげなくも何ともないどころか、むしろミエミエ過ぎて恥ずかしいだろう。まぁ需要あっての供給なので、そんなんで騙される女もいるのかもしれないが、第一、もしそれで上手く口説き落としたら、お前はそんな素材を今後ずっと用意し続けるのかとw。いつかネタがつきて破綻するだろう。まぁその場限りだから良いのか....

 つまり、よく読めばこんないかにもモテなそうなマニュアルを読んで『よし、俺も実践してみよう!』なんて思ってしまった輩は、その時点で負け決定ということだw。まぁAll Aboutらしいといえばらしいが。


 ぶっちゃけ、上っ面だけの浅い者同士がどこでどう乳くり合おうがw俺は一向にかまわない。俺が嫌なのは、パスタのほんの一側面だけをズレた形で使ったこんな浅い特集をされて、パスタというものが大きく誤解を受けるだろうという事だ。というより、見識の無い連中が作るからこんな的外れな特集になり、それを見た連中が(それを否定するにしろ肯定するにしろ)、パスタをTPOに即さない、融通の利かない食ジャンルとしてのイメージを強くするのだ(実際、夜中にパスタは勘弁して欲しいという意見はいくつも出ていた。まぁこの特集なら当然だろう)。メディアでプロとしてイタリアンで飯食ってる人間も関わってる特集なのに、それはいかがなもんだろうか。


 うちの同居人は、色んな人に『パスタマンって本当に毎日パスタ作ってるの?』『飽きちゃわないの?嫌じゃないの?』と聞かれているw。それに対していちいちどう答えているのかは知らんが、夜だろうが朝だろうが毎回嫌な顔一つせず食ってる。それはとりもなおさず飽きないからに他ならない。何故飽きないかと言うと、別に俺の腕が良いからという事では全然なく、そもそもそんな質問をされること自体、以下の『パスタに対する理解の低さ』が引き起こす一種の偏見によるものなんだな。例えば、『君、毎日ご飯炊いてるの? 飽きない?』って聞くか? 俺にはそう聞かれてるのと同じ事だ。

 今回この特集と、それに対する意見を聞いていてあらためて良く分かったが、どうもパスタという食い物は、思った以上に知られていない。というかある側面だけしか見られていないようだ。だからそんな質問をされるし、パスタなんて夜中に食える代物じゃないと思われるし、上記のような駄目な特集が組まれてしまうのだ。


 まず、パスタってのは麺料理ではない。(それをも含む)小麦粉料理だ。つまり、別に特定の料理を指すわけではなく、主食のようなもんなんだな。高級な味から庶民的な味までの幅が広く、種類も多く、多くの人が思ってる以上に広大な世界なのだ。
 そもそも長細い『麺』の形をしたものはごく一部。その限定された部分を切り取ってパスタと呼ばれちゃってる。ご存知のようにラザーニャみたいな大判のものからリゾーニに代表される米粒のような極小パスタまで、大小数百種類ある形の違いによって、食感も味もまるで変わるし、卵とかほうれん草とかパプリカといった、別の素材を練り込めばまた変わる。それが茹でたジャガイモやかぼちゃならニョッキだ。またラビオリといって餃子のように詰め物をしたパスタもある。勿論ソースによって味はどうにでもなるし、別にソースや具とパスタを絡めなくたっていい。煮込もうが、オーブンで焼こうが、冷水で冷やそうが、パスタはパスタ。スープに浮き実として使ってもそれはパスタなのだ。
 余談だが、日本に初めて紹介されたパスタは、実はスパゲッティではない。リゾーニなのだ。詳しくはここを読むと良い。米不足を補うための代替米なんて背景がなかったら、今頃日本でパスタと言えばリゾーニだったかもしれない(なんてな)。

 つまりパスタというのは、(前にも書いてるけど)麺料理も含む飲茶の世界観に等しいんだな。飲茶を知っていれば『飲茶って毎日食うと飽きるよねぇ』とは言わない。勿論『飲茶を毎日食う』という状況自体ナンセンスだがw、それ以前に世界が広すぎて(選択肢が多すぎて)、飽きると言う概念が通用しない。
 それはパスタにも同じ事が言える。毎日太さ1.6mmのスパゲッティーニばかり食ってれば、それはいくらパスタ好きな俺でも飽きる。でも実際のパスタってのは、上記の通りそんな狭いものではないのだ。だから飲茶同様、飽きるという概念は当てはまらない。


 夜中にカツ丼出されても困るけど、お茶漬けや雑炊なら嬉しい。
 夜中にデカい肉まん出されても困るけど、中華粥なら嬉しい。
 夜中にカルボナーラ出されても困るけど、リゾーニを使ったミネストローネなら嬉しい。

 でしょ? あの特集の駄目な部分がよく分かるだろうw。ちょっと珍しい高級素材やお洒落な料理のレシピを知ってればいいという(モテるw)わけじゃない。問題は、その状況と気分に上手く合わせてやる事が出来る『空気を読める』センスがあるかどうかであり、例え特集読んで『アフォやなぁ』と思った人がいても、あくまで特集を組んだ連中が駄目なんであって、パスタそのものに罪は無いという事だけはどうか理解しといて欲しいw。


 それに、勿論クオリティというか、質の部分も関係する。例えば、

 コンビニ弁当を毎日食ってたらいずれ飽きるけど、炊きたての白米を毎日食って飽きるか?

 毎日菓子パンや総菜パンを買ってきて缶コーヒーで食ってたら飽きるけど、焼きたてのフランスパンと煎れたてのコーヒーを毎朝食って飽きるか?

 という事だ。


 『毎日○○食って飽きない?』という人は、むしろ『それが全て同じものに見えてしまってる』自分の見識を疑った方が良い場合もある(全部のジャンルがそうとは言わんが)。当たり前だが、自分の知ってる事だけがその全てじゃないよと。
 今日はイタリアン、今日はフレンチ、今日は中華、今日は和食と、ちょっとかじっただけの世界を沢山コレクションする事より、あえて一つの世界を深めた方がかえって世界が広がると言う事もあるのだ。少なくとも俺は、そこら辺の連中の食生活より余程バラエティに富んだ味(栄養バランスも含む)を楽しんでるよ。毎日『同じもの』でね。

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