たまプラ〜鷺沼パン屋ツアー
うちの沿線近辺には何故か美味いパン屋が数多ある。特にたまプラ周辺は、コジャレマダムの需要を満たすべくなかなかいいパン屋が多い。一方、うちにはかなりの腕のパン職人がおるのだけど、当人は勉強のためにパンを食い歩いたりとかは殆どしない人(の割にはもの凄い高レベルのパンを作るのだが、俺も外でパスタ食ったりは殆どしないので気持ちは分かる)で、どうやら自分のパンのクォリティ以外はあまり興味が無いようなのだが、たまには自分のパンの客観的レベルを知るのもいいかと思い、連れ立って味見ツアーを敢行した。選んだ店は、
●ベッカライ徳太朗
●ラ・ベルコリーヌ
●メゾン・カイザー
●デフェール
●ビゴの店
の5店。ビゴの店以外は皆たまプラ駅周辺にある。なるべくプレーンな食事パンを選んで食い比べてみた。
◆ベッカライ徳太朗
まずはこの店。基本的にはライ麦多めのドイツ系パンが多いようだ。またインディペンデントなオリーブオイルを初め、パンの他にもこだわりを感じる食材等を輸入販売もしてるようで、期待を抱かせる。店に着くと驚く事に行列が....パン屋って行列出来るんだ。初めて知ったよ。
ここは食パンが評判のようなのでドイツ食パンを注文したのだが、俺の前で売り切れ....仕方なく同じ生地を使ったテーブルロールと、オリーブのフーガスを購入。テーブルロールは、思ったよりライ麦の酸味を感じず、外も内もソフトなので食べやすいがまぁ普通。ただ人気があるのは分かる気もする。我々日本人が毎日食うにはこういうパンが向いてるかもしれない。一方フーガスの方は、オイルなど素材に良いものを使ってそうで風味がよく美味い、が、いくらなんでも600円オーバーは高いだろう、という味。
期待満々で行ったので若干拍子抜けしたというか、あらためて普段いかに贅沢なパンを食ってるか自覚させられた。世間ではこのレベルで行列ができるのかと。
◆ラ・ベルコリーヌ
続いて、たまプラ東急とヨーカドーの間の道を進んで突き当たりにあるラ・ベルコリーヌへ。併設のカフェがいい感じのシャレた外観に期待も高まる....が、正直イマイチだなぁ。全体に(外と中の)コントラストがないというか、ボヤけてるというか。その所為か粉の風味も弱いように感じる。勿論不味いとは言わないが、なんだろ、やっぱ行く前の期待が強すぎたのだろうか。先行きに不安は募るばかり。
◆メゾンカイザー
知らぬものはいない有名店。たまプラ店は東急SCのB1Fにこじんまりとある。ここのクロワッサンはたまにランチで食うのだが、ホント美味いし美しい。食いだすと止まらなくなる系の危険な食い物。だが食事パン系は今回初めて食べてみた。いやぁ、やっぱ美味いね。特に香りがいい。粉自体の風味も、焼けた外側の香ばしさもやっぱ前2店とは一段ステージが違う感じ。うちも普段食うパンはメゾンカイザートラディッショナルを使ってるので馴染みがあるというのもあるが、この辺のパンで初めて比較が出来るなぁ。やはりパンに関して言えば、その普及率、数の多さゆえに、有名になるのはそれ相応の理由があるという事だな。
◆デフェール
ここも地元以外にも名前が知れ渡った有名店。ただしパン屋ではない。世界コンクールで優勝した経験を持つシェフが作るスィーツが絶品のケーキ屋だ。俺も、甘いものは好きな方ではないが、ここのケーキは大ファンである。今回はここの作るクロワッサンが美味いということで買ってみたのだが、いやぁ、流石デフェール。これは美味いわ。個人的には、メゾンカイザーよりも上。特にその味わいの繊細さ、層のきめ細やかさは菓子職人ならではという感じ。中と外のコントラストも気持ちがいい。う〜ん、今まで何度も行ってるのになんで買わなかったんだろう。こういう技術を要するものはなかなか家で作ろうと思っても難しいので、近く(といっても3駅先だが)にこのクォリティのクロワッサンが買えるのは嬉しい事この上ない。俺の数少ない経験では、クロワッサンNo.1と言って良い。
折角なのでついでにケーキも載せとこ。まぁ既に色んなとこで紹介されてるので、感想等は他のblogでも見て下さいw。もう随分食ったけど、評判通り本当に美味い。サプライズ的要素を評価されてる場合が多いけど、俺的には理屈っぽいというかw、隅々まで計算され尽くされてる感じが好きなんだよなぁ。美しいけど無駄が無い。ケーキ屋では唯一、ファンと断言出来る店。
◆ビゴの店
たまプラを離れて隣の鷺沼へ。去年まで12年ほど住んでた、第二の故郷と言って良い町。まぁ今も2つ隣の駅に住んでるわけでw、そんな感慨にふけるのもおかしい話だが、たった数ヶ月来ないだけでもう郷愁を感じるなぁ。俺に取っては既に過去というイメージになりつつある。
このパン屋も、住んでた頃は良くいった。ここのパンは味も好みだが、なんというか見た目、佇まいが好きなのだ。美しいというよりは朴訥として愛嬌がある。特に写真奥のパン・オ・ルヴァンの姿は惚れ惚れする。今回あらためて食い比べという形で食ってみると、吃驚するという感じではないが、しみじみと美味い。日常食うのにこんなパンだったら満足という味で、それまで何気なく食っていたものが、比べてみてもやはりそれなりに美味いんだなぁという事が分かって、なんとなく嬉しくなった。ちなみにうちのパン職人も、ここのパンの姿は本を見てだいぶ参考にしてるらしい。
そんな感じで、全体に期待が強すぎた感があったが、自分が普段食ってるパンがどのくらいのレベルのものかを認識する事が出来て有意義なツアーであった。まぁハッキリいって、もはやその辺のパン屋では比べるのもはばかられる程の高いクォリティのパンを食っちゃってるんだなぁという、なんとも嫌らしい結論をもってこのツアーの締めくくりの言葉としたいw。
そうそう、帰りに久しぶりによしみや(俺にとって蕎麦屋のデファクト・スタンダード)で蕎麦を手繰ってさらに幸せな一日となったのであった。かつてはそば打ちにハマり、都内のそば屋巡りも大好きだったのだが、この店に終止符を打たれた。『こんな美味い店が近所にあるんだからもういいじゃん』と。かつて程は行ってないが、たまにそば屋を訪れてもここ以上のそば屋には未だなかなかお目にかからない。ちなみに店内で写真を撮ると怒られるという、なんとも鼻につく部分もあるのだがw、サービスもなかなか気持ちいいので、お近くにお寄りの際には是非どうぞ。鷺沼では稀な、行って損の無い店である。
Comments
ビゴの息子は僕の高校時代の同級生なんすよね。神戸で毎日パン焼いてますよ。今度会ったら伝えときますね(w
Commenter: 29man | 2006年03月08日 00:24
ニック:
へ〜、それは羨ましい。息子さんもちゃんと跡継いでるんだ。
日本におけるビゴの功績は計り知れないよね。今度紹介して下さいw。
Commenter: pasta-man | 2006年03月09日 13:54